今日も今日とて素晴らしい映画に出会えないものかとAmazon PrimeとNetflixを徘徊する。ジャケットとあらすじでこれだ!と決めたけど、結果的にはちょっと惜しい映画でした。
大晦日のロンドン。スキャンダルが原因で仕事も家族も失ったTV司会者マーティン(ピアース・ブロスナン)は、ビルの屋上にいた。飛び降りて全てを終わらせるつもりだった。そこに脳に障がいを持った息子の介護疲れで自殺しようとしている母親モーリン(トニ・コレット)が「順番待ち」だと現れる。姉が失踪した事で家庭内不和に苦しむ少女ジェス(イモージェン・プーツ)、脳に癌がある元バンドマンのJJ(アーロン・ポール)まで現れ、4人の自殺志願者達は興醒めして自殺を取り止める。
出会う筈のなかった自殺志願者達の心の交流を描く。
あらすじには超惹かれたのになぁ。
物語はそれぞれが一人称で語る4つのパートに分かれ、群像劇としての作りも上手い。
しかし、決定的に惜しいのは4人それぞれに、命を絶つまでの命の説得力がない。
命の説得力。
必死に生きて、生きて、生きて、どうしようもないから、八方塞がりだから、死を選ぶという説得力が足りない。
マーティンは名声を失ったから←それは万人が認める死の理由にはならない。
モーリンは息子の介護疲れから←確かに大変な生活ではある。しかし、彼女は息子を十分過ぎる程愛している。死んではならないぐらいに。
姉の失踪を機に、家庭内がギクシャクして、その理由が自分にあるのではないかと悩むジェシー←それは思い過ごしだから大丈夫。
癌を患っているJJ←本当は別の理由があって、彼が1番理解不能。
いや、確かにほっこりさせられる。彼らの世代を超えた友情に頬が緩むのは確か。それでもちょっと死を選択するにしてはシリアスさが足りない。
ジェシー役イモージェン・プーツが、破天荒なじゃじゃ馬娘に見えて意外に他の3人を気遣い、ギャップ萌え的な可愛らしさもあるし、トニ・コレットはシックス・センスのお母さん役だし、最近よく見かけるアーロン・ポールもツバメのタトゥーとかカッコいいし(敢えてピアース・ブロスナンには触れまい)。
4人のキャラクターは魅力的で嫌いじゃないけど、いかんせん脚本の問題。
深みが足りない。
ビルの屋上から覗く、底も見えない様な人生の深みが。