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悪童日記の一人旅のレビュー・感想・評価

悪童日記(2013年製作の映画)
4.0
ヤーノシュ・サース監督作。

ハンガリーに生まれ、1956年のハンガリー動乱の際に国外へ脱出した作家アゴタ・クリストフによる1986年発表の同名小説の映画化で、戦時下のハンガリーを生き抜く双子兄弟を描いた戦時ドラマです。

第二次世界大戦末期のハンガリーを舞台に、戦禍を逃れるため田舎の農園で暮らす祖母のもとへ身を寄せることとなった双子の兄弟が、いくつもの困難に直面しながらも逞しく生き抜いていく様子を描いた“戦時サバイバル+少年ドラマ”の力作となっています。

人々から“魔女”と呼ばれる強烈な個性の持ち主である祖母の支配のもとで過酷な疎開暮らしに順応していく双子兄弟の一心同体の生き様を見つめた作品で、戦争という未曾有の災厄が無垢な双子の生存本能を冷淡に高めていく様子に、人間性を根底から破壊&再構築する戦争の残酷な本質が浮かび上がっていきます。

死と隣り合わせの日常を生き延びるために冷酷な心の成長を遂げていく双子兄弟の姿を見つめた戦時少年ドラマの力作で、主演の新星アンドラーシュ&ラースロー・ジェーマントが非情な現実を克服していく兄弟を硬い表情で力演しています。
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