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リアリティの一人旅のレビュー・感想・評価

リアリティ(2023年製作の映画)
4.0
ティナ・サッター監督作。

劇作家:ティナ・サッターが自らの舞台劇を長編映画化した実録ドラマで、主演のシドニー・スウィーニーがFBIの尋問を受ける女性を熱演します。

本作は、2017年にアメリカ国家安全保障局の契約社員だった女性:リアリティ・ウィナーが国家機密漏洩の容疑で起訴された事件を題材に描く実録ドラマです。

映画の特色としては、当時実際にFBIと女性の間でなされた対話が劇中の台詞としてそのまま再現されている点にあります。機密漏洩容疑をかけられた女性と、彼女を始終穏やかに尋問するFBI担当官とのやり取りを女性の自宅に舞台を限定して描いていく実録ドラマで、FBIが女性の行為を非難するのではなく、女性がその行為に及んだ理由を引き出そうとしていることや、今行われている尋問が双方の任意に基づくもので強制的なものではないことを再三にわたり明示していること、女性が飼っている犬と猫への気遣い等、女性の生活や人権に配慮したFBIの一連の対応が現代アメリカにおける犯罪尋問の基本的なスタンスを如実に再現しています。

機密漏洩容疑をかけられたアメリカ人女性と彼女を始終冷静に尋問するFBI担当官とのやり取りの一部始終を、映画的な劇性(フィクション)を最大限排した圧巻の“リアリティ”をもって再現した実録ドラマで、尋問の実際の音声録音データに基づき対話がなされる作品ではありますが、“本当に公には出来ない”機密に係わる事柄については伏せ音でカバーしています。
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