Eyesworth

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のEyesworthのレビュー・感想・評価

4.6
【暗号を解く鍵は社交にあり】

モルテン・ティルドゥム監督×主演ベネディクト・カンバーバッチ×キーラ・ナイトレイ。第二次世界大戦中、ドイツ軍の暗号エニグマの解読で功績を残したアラン・チューニングの伝記映画。

〈あらすじ〉
第2次大戦下の英国。ドイツ軍の暗号エニグマの解読のため、政府は各分野から天才たちを集める。その中の1人、数学者アラン・チューリングは独自の解析を実践。しかし、その挑戦の果てには大きな波乱が待ち受けていた…

〈所感〉
『博士と彼女のセオリー』のスティーブン・ホーキングを見た時も思ったが、天才にはなんて生きづらい世の中だったのだろう。しかし、だからこそ彼らのような本当の逸材が激動の世に現れ、真価を発揮することができたのかもしれない。ベネディクト・カンバーバッチ扮する本作の主人公アラン・チューリングは明らかに普通の人の思考・感覚と違い、初めはまともな会話すら成り立たない。そんな人間関係など不要と切り捨てていたチューリングだったが、キーラ・ナイトレイ扮する同僚のジョーンやヒュー達との交流から新たな発見や数値には還元できない大切なものを見出していく。そして前人未到のエニグマの解読という快挙を成し遂げる。自伝なので実話に基づいてはいるらしいが、実際ここまで感動的な物語だったのだろうか。これは偏に映画としての力だろう。最後は同性愛者として薬物処置され、自殺してしまったという悲劇もまさに天才らしいエピソード。生きる時代を間違えた、と言いたいがやはりこの戦禍の時代にこそ彼は相応しかったと信じたい。彼の功績は今も我々が最も信頼を置くデスク上の計算機としてそこに残っているのだから。
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