Eyesworth

禁じられた遊びのEyesworthのレビュー・感想・評価

禁じられた遊び(1952年製作の映画)
4.7
【十字架泥棒】

ルネ・クレマン監督が1952年に手がけ、同年のベネチア国際映画祭で金獅子賞、アカデミー賞で名誉賞(後の外国語映画賞)などに輝いた、映画史上の不朽の名作。ナルシソ・イエペスのギター演奏による主題曲「愛のロマンス」の哀愁に満ちた旋律が有名。

〈あらすじ〉
1940年6月、南仏の田舎。機銃掃射で両親を失った5歳の少女ポーレットは、少年出会う。やがて彼の家に連れていってもらった少女は、彼に死んだ子犬の墓を作る姿を見せてもらい、死者の葬り方を教わる。そして、2人は共に次々とお墓造りという遊びに夢中になっていく…。

〈所感〉
戦争が子どもたちの身近にあった頃、必然的に隣には多くの骸が横たわっていた。そんな今からかけ離れた感覚を当時の子供たちは当たり前のように受け取っていたのだ。まだ死が何かもわからないというのに。動物だって死の気配は感じ取れるが、人間は死を予見できる恐らく唯一の存在だ。だから死を愚弄してはいけないし、死に対していつでも滑らかに顔を向けていなければならないと思っている。ミシェルとポーレットのお葬式ごっこはは死の遊戯化としてとても褒められるものではないのかもしれないが、彼らが純なる想いでそこになんら悪意はないように思えて、私は心が現れた。戦争孤児を描いたこの作品に備わるメッセージは多分に大きい。やっぱりイエペスの劇伴がとても素晴らしい。リズムが映画を作っている。
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