のんchan

インポート、エクスポートののんchanのレビュー・感想・評価

インポート、エクスポート(2007年製作の映画)
3.7
ウルリヒ・ザイドル監督の『パラダイス3部作』が私は結構お気に入り💕

今作はその5年前の製作。風変わりなジャケが気になりながらもようやく鑑賞気分に...このシーンは老人介護施設のパーティ🥳

監督の独特の持ち味で、やはりエロティックな場面(ポルノのような変態シーン)を挿入しながらも、真っ当な社会派の映画🎦
独特の空気感がクスッ🤭と笑えるゆる〜いコメディでもあるかも?

雰囲気的にはスウェーデンのロイ・アンダーソン監督にちょっと似ているかな?


舞台はウクライナ🇺🇦とオーストリア🇦🇹の男女2人がそれぞれ仕事を得る為に必死に立ち向かう物語。

ウクライナで看護師をしている金髪美人でシングル・マザーのオルガ。給料があまりにも少なく生活ができなくなり、まだ乳飲み児を母に託してオーストリアへ。

一方、オーストリアで様々な仕事を転々とするがどれも続かない青年ポール。愛想がなく無口なので仕事も友達も彼女とも上手く行かず、仕方なく義父の仕事を手伝いウクライナへ。

2人とも言葉が通じない国へ行き、悪戦苦闘する姿を映し出す。あくまで底辺の労働者階級の人々の状況がリアルに描かれている。

オルガは母国では資格を持つ看護師なのに、オーストリアでは清掃員しかやれる仕事がない😞
そんな中でも母国語を知る老人とお喋りしたり、こっそりダンスを踊ったり...認知症の行動、佇まい、排泄処理は胸に迫るし、オルガは老人の突然の死に面喰らう...

ポールはショピングセンターの夜警を解雇され、友人や義父から借金を重ねていた。借金返済で仕方なく気に入らない義父の仕事を手伝うしかなくなる。凍えそうな車中泊や義父の性的嗜好に嫌気が差してウクライナで1人で仕事を探し始める...


2人の物語が同時に進むが最後まで出会うことはなく、それぞれに社会の理不尽さ、現実の厳しさ、憤り、やるせなさをリンクさせる。

カメラは引きで映し出す風景や群衆、また真正面からシンメトリーでのアングルの対比がセンスを醸し出している。

そして、壁に飾ってあるキリスト像がとても監督っぽい❗️
オルガは事あるごとに十字を切って祈る💫
のんchan

のんchan