アラサーちゃん

夜に生きるのアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

夜に生きる(2015年製作の映画)
3.0
禁酒法時代のボストン、そしてフロリダを舞台に、ギャング嫌いのこそ泥がある復讐のためにギャングのトップへとのし上がっていく物語。

原作は、「ミスティックリバー」等のデニス・ルヘイン。なるほど、バックヤードから細かく描いて展開もよさそうなプロット。

しかし観る限り、警察幹部の父との確執や、女神の終盤でのとある選択や、女神の父であり警察本部長の伏線が、とりあえず全部詰め込んだという感じで中身がなく、ストーリーに入りにくい印象。

そのぶん、カーチェイスシーンは息を呑むほど素晴らしく、ラストのスカーフェイスよろしくフロリダのホテルを舞台にドンパチするシーンは楽しかった。
でもねあくまで、シーンの演出としての話。
最後のスカーフェイスが終わるまでの、「敵」という存在の作り方が私はよろしくないと思う。観客には優しくない。
観た人ならわかるけど、「あ、え?こいつなんだ?中盤まるでいなかったけど、こいつなんだ?」ってなるし「あっ、お前、ここででてくんのね、あれ、でも、まじでここで出てきた意味ないくらいストーリーに帰着してなくない?」ってなる。
ほんとうに、ほんとうにもったいない。

きっとそれ以上に伝えたいシーンがたくさんあったんだろうな。
ドンパチで気持ちよく片付いたところにまた長い人生ドラマが続く…
そのプロットに少しげんなり。

なんだか淡々としすぎていた、主人公のジョーが。
父への反発についても、妻への愛にしても、なんだかジョーの真意がはっきりと見えてこなかった。

禁酒法時代っていう下敷きはとても好きやので、映像もとてもよかったので(セットのディテールはちょっと足りない感)もうちょいうまくまとめてくれればよかったなという印象。