ひこくろ

ハウンターのひこくろのレビュー・感想・評価

ハウンター(2013年製作の映画)
4.5
タイム・ループ物に、ミステリーとホラー(幽霊・サイコ)を混ぜててんこ盛りにしたような映画だった。
こういうのって大味になったり、とっちらかったり、雑になったりしやすいけど、この映画は抜かりがない。
文句なしで、最初から最後まで抜群に面白い。

主人公のリサが賢いというのが何よりも重要な鍵になっている。
なぜタイム・ループが起こってしまうのか。不思議な出来事が続くのはどうしてか。
家にいる謎の人物は誰なのか。そして、自分が何を望み、何をしなければならないのか。
リサは、たぶん観ている人よりも、かなり早い段階ですべてを理解してしまう。

彼女が何か行動すると、日常に変化か現われる。
同じ繰り返しだったものが、違う展開を取りはじめる。
でも、それは彼女にとっては苦痛でしかなく、望むものでもない。
逆に言えば、日常が普段と違う様相を見せた途端、その先で彼女に悲劇が降りかかるのがわかる。
賢い彼女は、それをも察知してしまい、自分がどうすればいいのかまた悩む。

逃れられないタイム・ループに見えていた話が、まったく別の話へとあまりにも自然に姿を変える。
家にいるように思える謎の少女や、弟の見えない友だちの正体もわかってくる。
彼女の目的も徐々に変更されていく。
そうのうえで、彼女が「その先」を選び取っていく様子にワクワクさせられる。

家の中では不可思議な出来事が次々と起こるが、それにもすべて納得のいく答えが用意されている。
というか、じつは冒頭からのあらゆる出来事、行動、物事、台詞にいたるまでのすべてがヒントだったと気づかされる。
ここら辺の伏線回収と呼ぶには凄すぎる収束具合は、もう圧巻のひと言だった。
ひこくろ

ひこくろ