アキラナウェイ

蒸気船ウィリーのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

蒸気船ウィリー(1928年製作の映画)
3.0
2007年以降、ディズニー作品のオープニングを飾ってきた、「蒸気船ウィリー」のミッキーの口笛シーン。

ミッキーマウスの短編映画シリーズとして最初に公開された作品、謂わばデビュー作という事で7分の短編をサクッと鑑賞。

とある貨物の蒸気船。ミッキーは機嫌良く口笛を吹きながら船を操縦している。船長のピートに叱られたり、置いてけぼりを食らったミニーをクレーンで船に乗せたり…。やがて船に乗る様々な動物達と音楽を奏で始め—— 。

トーキー映画(音声付き映画)がこれからの主流になると確信したウォルト・ディズニーが制作したと言われるが、実際にミッキーやミニーが台詞を話す事はなく、サイレント映画の名残を強く感じさせる。多くは身体の動きやリアクションで楽しめる類のアニメーション。楽譜とギターを食べてしまった山羊がその口から音楽を流し始める等、主体となるのは動物達と音楽。

現代では動物虐待と捉えられる描写もあるし、ミッキーも意地が悪い性格。それも仕方がない。およそ100年前、1928年の作品だもの。

そんなミッキーも、時代を幾つも経ていく中で現在のパブリックイメージを築き上げてきた。

つまり、アニメーションに限った事ではないが、映画はその時代の空気を吸って作られていくという事。

今は当たり前として観ている数多の作品も、いつかは常識外れになっていく。

そんな、映画の歴史や移り変わりを感じる事が出来るという意味で、7分にしては収穫。

でも、あらゆるコンテンツを金で買い膨らんでいく近年のディズニー・スタジオはどうしても好きになれない。はてさて。ディズニーよ、何処へ行く?