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無常のleylaのレビュー・感想・評価

無常(1970年製作の映画)
3.9
いかにもATGっぽい作品。ウルトラマンの演出でお馴染みの実相寺昭雄監督の長編映画第1作。

姉弟の近親相姦、3P、母子相姦など、タブーというタブーを盛り込み、そこに仏教やら地獄・極楽やらを絡めた異色作。

おぞましくも厳かな日本らしさを味わえます。

生々しい男女の営みが何度も繰り返され、男女の営みも仏像を彫ることも、まるで同様のことのように描かれる。

1ショット1ショット作り込んだ構図へのこだわりがすさまじい。

暗くて広い日本家屋の不気味さ。その中で繰り広げられる能面をつけての鬼ごっこ。効果音の使い方、子供の声、シュールな魚のオブジェ、ラストのロングショットで唄われる明るい歌など、すべてがインパクトがありすぎて、もはや笑えます。

最後の方はなんだかウルトラセブンを連想してしまった。地獄と極楽についての僧侶と主人公との言葉のバトルも面白く、田村亮の虚無感が良い。

好き嫌いは別として、なんじゃこの世界観は!と度肝を抜かれた作品。エロスでお腹いっぱい。
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