囚人13号

ノスタルジアの囚人13号のレビュー・感想・評価

ノスタルジア(1983年製作の映画)
4.9
4Kではないブルーレイで再見。おうちのざこテレビで見ても萎縮しない、寧ろカメラワークが際立って良かった。

長回しによってフレームが絶えず不規則変化し、全景を捉えた縦構図から顔へのフォーカスで後景が消失→その人物を追ったフォローからまた全景へ収斂していく。
部屋内の空間設計はドアや窓枠がフレームインフレームというより長方形の幾何学性として導入されていて、奥の洗面所のソラリス的な丸鏡が反射と円要素を補完している完璧な構図。

「鏡」はただ光景をシンメトリーに反射する水面と異なり、キャメラに背を向けた人間の表情を暴きやがては記憶や別次元的な光景をも映し出すという、本作に限らず常に美術装置以上の役割を与えられている。

ドメニコに招かれ廃墟へ入っていくシーンの画面は褪色の進んだ印象派絵画のようにまた質感が異なっていて、無数のオブジェと多発的な雨漏りの奥行きで豊穣この上ないのだが、こう言ってよければ何故かクレイアニメらしくもあった。理由は全く分からんが…。
囚人13号

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