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パンドラ ザ・イエロー・モンキー PUNCH DRUNKARD TOUR THE MOVIEのjamのレビュー・感想・評価

4.0
そこまでして何故ツアーを続けるんだろう
どうしてバンドやってるんだろう
…そもそも、どうして音楽やってるんだろう?


メンバーのみならず、当時のスタッフや関係者のインタビューには
記憶と記録だけではないそれぞれの想いがあった

年間113本という驚異的な本数のライブツアー
まさしく"パンチドランカー"
そもそものスタートから
その前に出演したフジロックで受けた精神的な痛手を纏ったまま


音楽って、仲間と一緒に演奏するのって
観客の熱気を感じるのって
楽しいんじゃないの?
嬉しいんじゃないの?


翳りは澱のように沈んでいき
カメラ越しにもその疲れた表情から
彼らの焦り、苛立ちが伝わる

打たれてもまたリングに上がるボクサー
アンコールを終えて袖に数歩で倒れ込むロビン
「やったよ、やり遂げたよ」涙をうかべながら


必死にライブを続ける一方
「このツアーは僕個人としては失敗でした」と言ってしまう
やるしかない、けれども
これじゃない、ダメだったことがわかっている葛藤


ヒット曲は知っていたけれど
彼らのライブには行ったことがなく
このツアーの数年後にバンドを解散して
ソロ活動をしていたロビン=吉井さんのライブには何度も通うようになっていた


彼、そして彼らの紡ぎ出す"音楽"には
キャッチーなもの、明るいメロディのものもあるけれど
どこか漂う憂い、そこが私たちを惹きつけてやまない魅力のひとつなんだろう
それはやはり
絶頂期と言われたこのツアーの
裏側にあったひとつひとつの出来事や
それに纏わる感情の揺らぎ
そういったものが意識せずとも
その音に染み付いているから



今回は新宿ピカデリー初の「ライブ音響上映」
バンド再結成前後の「オトトキ」もラインナップに入っていて、両方観れば彼らの過去から現在に触れることができる 



ツアー最終公演の楽屋で流れた
ジプシーキングスの「マイウェイ」が
明るくも切なくて
そこから「so young」の流れで

パンドラの箱の底に残った"希望"が
「オトトキ」まで繋がり
"どうしてバンドやってるんだろう"
に「プライマル。」でひとつの解答が…
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