さも

ラストエンペラーのさものレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
5.0
【視野が狭くなっているときに観たい一作】

1980年代に撮ったとは思えないほど綺麗な映像美と壮大なスケールだった。坂本龍一の音楽もピカイチ。尊厳高いがどこか哀愁が感じられる。

愛新覚羅溥儀はまさしく時代に翻弄された1人の人間。皇帝という立場を利用され、どうにもならない不自由さの中で生きざるを得なかった。変動が大きい時代の中で彼だけは変わらない思いがあったのかもしれない。
皇帝になるという宿命を背負って生きる溥儀と比べると、選択できるという時点で私たちはある種恵まれているともいえる。

「紫禁城は観客のいない舞台であり、その中で与えられた役を演じ続けなければならない」というようなセリフがあったが、日に言い得て妙だった。トゥルーマン・ショーにも似た寂しさを感じる。

彼には来世で大切な家族と共に生きられる人生を送って欲しいな、と勝手ながら願った。
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