ぽん

もうひとりの息子のぽんのレビュー・感想・評価

もうひとりの息子(2012年製作の映画)
3.7
「そして父になる」(2013)みたいな新生児取り違えの話。それが人種も宗教も違う家庭で起こったとなれば問題はさらに複雑に。アイデンティティとは何によって確立されるものなのか、考えさせられた。

この映画で描かれているアラブ人とユダヤ人の考え方がどこまでリアルなんだろう?と思ってググってみたら、ロレーヌ・レビ監督のインタビュー記事が見つかった。当初は原案のみでイスラエルを舞台にアイデンティティと家族の物語を描こうとしたとのこと。イスラエル人とパレスチナ人の混成チームを作って撮影の4か月前から現地入りし、たくさんの人と会って話を聞きながら脚本を創り上げていったのだそう。そして「希望の映画を作りたかった」と彼女が言うとおり、この映画は憎しみや葛藤を乗り越えていく。涙が出た。

宗教や民族に残る歴史の記憶については外側からは何も言えない。たとえ自分の理解を越えていてもジャッジは出来ない。ただ、この映画が作られてから10年経った今、かの地で起きていることが辛すぎてなんとも言えない気持ちでいる。
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