個性的なフリークスの人々を撮り独自のアートを生み出した写真家ダイアン・アーバス。彼女のアーティストとしての生き方にインスパイアされて作られたミステリアスなラブストーリー。スリリングなエロティシズムを匂わせながら、芸術を表す。とっても好みでした。
「アーティストがアーティストの存在によって創造性を掻き立てられ、アートの真髄に近寄ろうとした」がいくつもの入れ子になっているフィクションで、創造とは何か、アートとは何かを体感させてくれました。
原題は「Fur(毛皮)」。被写体に近づいて秘密を共有し、余所行きの顔(Fur)を脱がせる手法をとったダイアン。劇中では毛皮商の裕福なお嬢さまとして描かれています。実際も、目に入るものは美しいものだけに制限されて生きてきたブルジョアだから、かえって偏見も差別もなく、個性的な人々の美しさや活力に気づき、惹かれていったのだと思います。
原題はFur。
人は純粋に汚れなく生まれてきたのに、生きていく間に目を濁らせてしまう。
人は裸で生まれてきたのに、見た目を着飾り、裸以上の人間になろうとする。
その両者へのアンチで、ダイアンが自らの裸に自信をもち、生まれもってきた純粋な目で、人間の尊厳ある存在を記録しようとするまでの葛藤が描かれています。
被写体を露にし、ときに暴力ともなるカメラ。写す側が、自身も曝していく。その姿勢が美しいです。
ロマンス映画ですが、
夫が髭を伸ばしたのが悲しかったです。子どもたちの心の内をもう少し知りたかったけれど、芸術家の家族は犠牲になってしまうんですね。あるいは、子どもたちもアーティストになるのかな。あと、あの辺りのシーンは要らなかったですね。エロティシズムでなくなってしまう。
演技力があると言われるニコール・キッドマンですが、私には張りつめた細やかな表情がどうしてもいつも同じに見えてしまうのに、この作品では役どころにぴったりでした。新しい世界に踏み出し自分の殻を脱ぎ捨てていく不安と喜びを表していました。
※よく知らない写真家だったのでプロフィールと写真を少し調べてから観ました。
🐇leylaさん、ありがとうございました。ばっちり好みでした📸