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マーガレットののんchanのレビュー・感想・評価

マーガレット(2011年製作の映画)
4.5
あなたがもしも...
走行中のバスの運転手に車外から話しかけようとした為に、よそ見した運転手が信号が赤に変わったことに気付かず交差点に進入し、歩行者を轢いて死なせてしまったら?
当事者になったときどうするか?
あなたは警察に自分が運転手に話しかけようとしたことや、信号が赤に変わっていた事実を話しますか?


『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』等の名脚本家であり、監督でもあるケネス・ロナーガン作品ってのと、日本未公開ながらもキャストの豪華さが魅力✨脚本の秀逸さに唸り、役者達の演技に観入り、150分の尺は感じなく、凄い作品に出逢えた充足感に満たされました🌟


冒頭に書いた質問は、高校生のリサ(アンナ・パキン)がバスの運転手(マーク・ラファロ)にした行動なんです。
たまたま運転手が被っていたカウボーイハットが気になり、どこで買えるのか聞こうとしていたことを警察に隠し、しかも信号は「青だった」と答える。
事故の時、リサはすぐに轢かれた女性に駆け寄り、亡くなるまでの短い時間、娘のように優しく寄り添った。しかしその後、リサは罪悪感に苛まされる。警察に証言の変更を申し出て、運転手(不慮の事故と見做されお咎めなし)を解雇させようと訴訟を起こす...


まずアメリカの高校生となると、大人びていて10代には見えない。学校の授業ではしょっちゅう意見を交わし激しい討論を戦わせている。タバコ吸うわ、酒飲むわだけど、理論的に口は達者でもまだ世間知らず、頭と気持ちが折り合わない。

生意気な雰囲気のアンナ・パキンの演技は上手い。リサは"矛盾の塊"と自分で言っているが、情緒不安定さがヤバイ。時にアグレッシブだが、深い孤独を感じる表情を見せる。早口で捲し立てたり、攻撃性を前面に出して体当たりの演技で魅了している👏
ただ、どうしても高校生には見えなかったのが玉に瑕かな?😅当時28歳だしね💦

マット・デイモンは真面目な教師役でリサに悩みを打ち明けられ相談に乗るが、身体を迫られ誘惑に負ける。何か闇を抱えているようでもあり、事なかれ主義で心のない人間を演じている。

マーク・ラファロは言うまでもなし。どんな役を演じても巧い🌟

ジャン・レノはリサの母親の恋人で金持ちの物腰の柔らかな紳士。

他アリソン・ジャネイ、マシュー・ブロデリック、ローズマリー・デウィット、オリヴィア・サールビー、キーラン・カルキン他演技派揃い。


法的問題、親の離婚、母娘の意思の疎通...沢山の悩み、未成年の葛藤が、間合いやカメラワークで独特の世界観を強調している。 

評価が割れると思うけど、凄く訴えているものを感じられた。
ラスト、母親とお洒落してオペラを観ている客席で流す涙、やるせなさと憤り、そんな娘を理解する母と抱き合うシーン。2人共にどこか欠けている者同士が支え合い解り合えたハグだったと思えた💞
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