おおこうち

風立ちぬのおおこうちのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.2
 堀辰雄の『風立ちぬ』と宮崎駿の「モダニズム批判」が融合した物語である。
 映画も見る前に読んだ小説、見た映画、聴いた音楽によって感想が変わる。だが、この作品には一貫して「モダニズム批判」が垣間見える。
 金を得るため、身を立てるため、人はあらゆる理由から仕事をし、金を得る。本作の主人公である堀越二郎は飛行機がとにかく好きで、戦争のためではなく、美しい飛行機を作ることに夢を持っている。だが、裏を返せば彼の夢が叶ったと同時に多くの人が亡くなる。仕事と芸術としての飛行機設計が沢山の命を奪うのである。
 だが、飛行機設計だけではなく、仕事に打ち込めば打ち込むほど人を幸せにする反面、ある人を悲しませることは多くある。では私たちが生きる理由は何だろう。ニヒリズムの誘惑に駆られながらもその問いを考えさせるのが本作である。
おおこうち

おおこうち