ハレルヤ

故郷よのハレルヤのレビュー・感想・評価

故郷よ(2011年製作の映画)
3.6
史上最悪の原発事故と言われたチェルノブイリ原発事故。そこからわずか3km離れた町で暮らす人々を襲ったその時の悲劇と、事故から10年後の姿を描いた物語。

前半は事故からの数日間を描いていて、日常生活に原発事故の脅威が徐々に侵攻していく様子に引き込まれました。雨があんなに嫌な存在に思えた映画は、これが初めてかも。

結婚式を迎えたばかりなのに花婿を失った花嫁や、事故の発生を誰にも言えない原発技師。植物の様子からいち早く異変に気づいた森林警備隊の男性など様々な視点から、事故の様子が捉えられます。

後半の10年後では、たとえ放射線で汚染されても故郷を決して捨てられない登場人物たちの様子がメイン。ゴーストタウンと化した町並み、美しい自然が多いはずの土地が虚しさに満ちた場所になっているのを見ると、胸に寒々とした切なさがこみ上げてきます。今の日本もまさにこれと同じ状況。

しかし脱原発とかそういったメッセージは敢えて描かれず、登場人物たちが故郷とどう向き合うのか、そこに焦点を当てているところは、本作の大きなポイント。

ストーリー性はあまりなく、非常に淡々とした作風ではありますが、それがよりリアリティを感じさせてくれます。
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