1944年、春。日中戦争に出兵した久蔵は、故郷の村に帰ってきた。両手両足を失い、頭は焼けただれ、耳も聞こえず、口も利けないその姿に村人は驚き恐れるが、勲章を授けられた彼を生ける軍神と奉る。…
>>続きを読むある事件で家族を失った山口善助は世間から馬鹿にされて生きてきた。昭和14年、善助に召集令状が届く。善助は喜んだ。冷たいシャバよりはマシな世界に思えたのだ。軍犬部隊に配属された善助は、ある犬…
>>続きを読む瀬戸内の小さな港町に、やたら肝臓病と診断するので“カンゾー先生”と呼ばれる開業医・赤城風雨がいた。いつの日か肝臓病の病原菌を突き止め、病に苦しむ人々を救いたいと、往診で町中を走り回る彼のも…
>>続きを読む昭和11年、中野の料亭に定という30過ぎの女が女中としてやってくる。彼女は主人・吉蔵と愛欲を交わす関係になるが、彼の妻に知られてしまったためふたりで駆け落ちする。ある旅館にたどり着いたふた…
>>続きを読む十日後に結婚式を控えた直子は、故郷の秋田に帰省した昔の恋人・賢治と久しぶりの再会を果たす。新しい生活のため片づけていた荷物の中から直子が取り出した1冊のアルバム。そこには一糸纏わぬふたりの…
>>続きを読む永井荷風は妻も取らず女道楽を続けていたが、58歳を迎え、色欲の衰えとともに創作意欲が減衰していくのを感じていた。そんななか、荷風はお雪という娼婦に出会い足しげく通うように。創作意欲を取り戻…
>>続きを読むその島は、至るところに「置屋」が点在する。本土からは日に二度連絡船が出ており、客の往来の足となっている。住民たちはこの閉塞され た島で一生を過ごす。女は客から「外」の話を聞いて思いをはせる…
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