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裂けた鉤十字/ローマの最も長い一日のmhのレビュー・感想・評価

5.0
アルデアティーネ虐殺が題材。アルデアティーネはイタリア・ローマにある洞窟。ナチス親衛隊がそこでローマ市民を虐殺した事件。
すでに敗戦を覚悟したナチス親衛隊の高官たちが主人公。
近く行われるであろう連合国からの戦犯指名を避けるよう立ち振る舞うのは、当時のドイツ軍人(ましてエリート集団のSS隊員)だったら当然だろうに、これを拾ってくれた映画がほとんどなかったのでありがたい。

パルチザンがローマ・ラゼッラ通りでSS警察連隊に対して爆弾で攻撃。33名が死亡する。

軍司令官メルツァー将軍は(ヒトラーのご機嫌を取るために)過激な報復を要求するも、賢明なカプラー大佐によって諫められる。

ハーグ条約(のテロへの報復:現地警察が犯人を差し出せない場合)に基づき、警官ひとりにつきイタリア人10名の処刑が妥当との結論。

死体処理の手配や、24時間以内に処刑される330名をリストアップするのが大変。命令書を出してくれれば動くとか、戦犯指名を受ける覚悟を決めたとか。

終盤の虐殺が恐ろしかった。
アルデアティーネの洞窟に到着するともう銃声が聞こえている。映画的にもったいつけることもなくどんどん処刑されていく。
ナチスドイツの高官ですら止めたがっていた蛮行が、事務的に機械的に行われていく。
実際の虐殺もこのような形で行われているであろうことが容易に想像できる。
この映画のキーパーソンであるカプラー大佐が登場する「赤と黒の十字架(1983年のテレビ映画)」の関連作として手を伸ばしたんだけど、かなりの名作でびっくりでした。ちなみに「赤と黒の十字架」の主人公、ヒュー・オフラハーティ司祭は出てこない。
作中、グラン・サッソ襲撃についての言及があった。カプラー大佐はムッソリーニ救出作戦でも活躍したとのことだった。キャラ立ちすぎでは?
監督も役者も音楽も超豪華。
なのに完全に埋もれてしまっているホロコーストものでした。
mh

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