星降る夜にあの場所で

“教授”と呼ばれた男の星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

“教授”と呼ばれた男(1986年製作の映画)
3.9
星降る夜に押し入れ探検隊 31

主人公のモデルになっているのは、ラファエレ・クートロであると思われます。
しかしなぜカモッラを題材にしたのだろうか?
トルナトーレの出身地から考えて、本来ならマフィアかコーサ・ノストラを選択するのが普通だと思うのですが…
長編処女作であれば尚の事、世界的にも認知度が高いビッグネームがゴロゴロいるのに。
処女作にありがちな、製作者サイドの都合からなのでしょうか?
それまでマフィアやコーサ・ノストラに関する作品はいくつか存在していましたが、カモッラに関して描かれた作品はなかったように思う。

ドキュメンタリーに近い内容になっています。
登場人物たちの内面描写は確かにこの頃から目を見張るものがあります。
私のようにギャング・マフィア映画が好きな方以外は、単にキレ者の男が物凄いスピードで犯罪組織のトップへと登りつめ、最後は己の保身に走ったために仲間たちが離れていく…といったストーリーに感情移入出来ずに終わってしまうかもしれません。

ただ、「題名のない子守唄」「マレーナ」「海の上のピアニスト」辺りを観ている方なら、トルナトーレの作品だとわかるはずです。

イタリアという国は日本と比べて、一般市民と犯罪組織との繋がりが非常に身近にあります。
日本の監督がヤクザ映画をつくるのとは全く意味合いが違います。
イタリア映画、イタリアの歴史を理解する意味においてこの手の分野が苦手な方も、一度は観る価値のある作品ではないかと思います。

主人公の母親役はゴッドファーザー・パート2でヴィトーの母親を演じたマリア・カルタ、裁判長役はゴッドファーザー・パート3でメアリーを殺したマリオ・ドナトーネが出演しています。