ダグラス・サーク監督、アーチー・スタウト、オイゲン・シュフタン撮影。
サークがハリウッドに亡命して、しばらく映画を量産するのが難しい時期の作品ではあるが、さすがに出来栄えはすばらしく、すべてのショットが完璧である。
ジョージ・サンダースのいわゆる引きの演技に対し、リンダ・ダーネルの妖艶な魅力のように、役者を引き出すことに長けているサークの真骨頂と言えるかもしれない。
またサークの細部に渡るサスペンスも魅力で、アンナ・リーが落としたダンスカード、犯人と同じジョージ・サンダースの指輪等、小道具の使い方がさすがに秀逸である。