夫殺害に手を染めた精神疾患者の夫人が、女王の圧政に喘いでいる犯罪者の町へと辿り着いてしまう。鑑賞者の生理への挑戦と人間の暴力性の表出をシニカルかつパンキッシュに描いている、お下劣コメディ映画。
強迫観念と被害妄想と誇大妄想に苛まれている中流階級の夫人が、クルクルパーな奇行を繰り広げる。富裕層と貧困層の板挟みに遭い、奇人変人に右往左往させられる感覚を、精神障害者の視点から風刺的に表現している。
ユニークな人生を歩んできたグラマー女優リズ・ルネイが、色情狂のサイコパスをポップに演じてくれる。「あなたのことを想って14回もオナニーしたのよ!」と、お姫様がシェイクスピア調に告白するシーンにも、謎の感動が呼び起こされる。
巡業の仕事によりディヴァインが不在となっているが、おかしな人たち(ボルチモアの住人をモデルにしている)が続々と出てくるため、笑いが止まらなくなる。カリギュラ効果を十分に満たしてくれる、ジョン・ウォーターズ開発の新薬のような作品。