イタリアを旅するアメリカ人女性が、複数名の異常性愛者が共同生活を送っている、奇妙な館に辿り着いてしまう。性的嗜好の多様性を語っている、エロティック・ドラマ。
性愛の多様性を知らない女性が、セックス群像劇に取り込まれていく、いわゆる「性のアドベンチャー」の系譜。ヒロインが睡眠から覚めると、穿いていたズボンが盗まれていたり、オッサンが股間に顔を埋めていたりする。
女優のヌード成分が極めて低く(ヘアー表現に修正あり)、セリフ劇で淡々と進行するスタイルのため、作品としては平板な印象を受ける。愉快なシュールレアリスム劇に"なりそうな雰囲気だけ"のドラマ展開になっている。
死期を実感している中高年の性に比重が置かれており、なおかつメタ発言が登場することから、「幸せな人生を送るべく、自己肯定を幻想世界(=映画の世界)に求める」というテーマを汲み取ることが可能。製作者の個人的な映画としては、これでイイのだ。