BOB

ルージュのBOBのレビュー・感想・評価

ルージュ(1987年製作の映画)
3.5
共に2003年に早逝した香港スター、レスリー・チャン&アニタ・ムイ共演のファンタジーロマンス。

亡くなった遊女が、50年前に心中した恋人に会うため、1980年代香港に現れる。

「永遠の愛」

身分の違いによって切り裂かれた、遊郭の芸妓と名家の御曹司による50年以上もの時を超えた悲愛ドラマ。あらすじから『ゴースト/ニューヨークの幻』のようなファンタジーロマンスを予想していたが、全然違った。怪談話のような趣で、ミステリー性が高く、ロマンスドラマは至って現実的。

レスリー・チャンとアニタ・ムイの唯一の共演作。物憂げで繊細なレスリー・チャンと、ゾッとするほどに冷たく妖艶なアニタ・ムイ。このラストシーンを見ると、僅か6ヶ月の期間にこの世を去った両香港スターに運命的なものを感じずにはいられない。ただただ来世で幸せに暮らしていることを願うばかりである。

香港の昔と今、伝統と現代が共存する世界であることも魅力。邦題になっている口紅紙(ルージュ紙)とスティック型の口紅💄、チャイナドレスと洋服、京劇と武侠ワイヤーアクション映画といった文化面の対比だけでなく、1980年代を生きるカップルが1930年代を生きたカップルの恋愛を評価するという価値観の比較も興味深かった。青味がかった香港の幽玄な空気感とレトロな路面電車にも心惹かれた。

監督はスタンリー・クワン。プロデューサーはジャッキー・チェン。現代人カップルの女性は、『男たちの挽歌』のヒロイン、エミリー・チュウ。

50年ぶりの再会直前のドリーショット。

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