ノッチ

吸血鬼蘇るのノッチのレビュー・感想・評価

吸血鬼蘇る(1943年製作の映画)
2.5
ロンドン郊外で、突然ショック状態に陥った女性が死亡する事件が起こる。

ソーンダーズ教授は、死んだ患者の喉に針で開けたような穴を発見し…。

『魔人ドラキュラ』ほかで知られる怪奇映画の大スター、ベラ・ルゴシ主演によるモンスターホラー。

ベラ・ルゴシが『魔人ドラキュラ』以来ひさびさに吸血鬼に扮した作品。

この作品は元々、『魔人ドラキュラ』の続編として書かれたもの。

しかしユニバーサルは、同時に持ち込まれた『女ドラキュラ』の方にゴーサインを出してしまい、こちらはボツになってしまう。

というわけで、もう少しでお蔵入りなるところだった映画であります。

吸血鬼が現代のロンドンに蘇る話だが、製作年度が1943年なので現代といっても戦時中。

アメリカは戦争中ホラー映画リバイバルだったそうだが、ロンドン空襲が背景っていうのはなんか凄い。

吸血鬼の名前はユニバーサルが握ってるので、アマンド・テスラとかいう名前になっています。

どう見てもドラキュラ伯爵だが、版権上それを名乗れないベラ・ルゴシはなんか可哀想。

この映画、ユニバーサルの『フランケンシュタインと狼男』(1943)を意識して、吸血鬼の手下として狼男を共演させている。

しかし狼男の必然性が薄く、メイクもユニバーサルのものに比べて微妙な出来栄え。

だがベラ・ルゴシは若干老けたが、あの鋭い眼差しは相も変わらず健在である。

しかしよくしゃべる。

ずーっとしゃべりっ放し。

だから恐怖感もあまりない。

作品自体は、盛り上がりとか見せ場とかいった点でだいぶ肩透かしな部分がある。

最近観た旧作の中ではセットも物語も大雑把。

それでもやはり、ルゴシがドラキュラスタイルの正統派吸血鬼を演じていることもあって、怪奇幻想の愛好家にとっては充分に楽しめることができる作品である。

でも個人的には『女ドラキュラ』の方が好きだなぁ。
ノッチ

ノッチ