青山

ベイビー・ブラッドの青山のレビュー・感想・評価

ベイビー・ブラッド(1990年製作の映画)
3.8

アフリカで捕獲されサーカス団にやってきた豹。しかしある夜その豹が破裂したような死体で見つかる。そして、豹の体から飛び出した"怪物"が、猛獣使いの女性ヤンカの股から胎内に侵入した。怪物の声を聞くようになったヤンカは、その声の命じるままに男たちの生き血を啜り、怪物はそれを栄養に彼女の腹の中で順調に育っていき......。


『マーターズ』『屋敷女』『ハイテンション』の早すぎた先駆作!!!
というのがホンマかどうかはさておき、ホラーが下火だった時代のフランスにおいてがっつりと血みどろスプラッタホラーをやってのけた怪作です。

見るからにB級映画という感じの本作、確かに設定からしてゲテモノ感は強いし(胎児の怪物が絶妙にキモ可愛い声で話しかけてくるのはギャグっぽいし)全体に安っぽいところも多いんですが、サーカス団で団長の情婦みたいな感じで不遇の扱いを受けていた主人公が"出産"のために男どもを餌にしていく様はシリアスな昏さがあって非常に好みでした。また、主人公と怪物との関係性が、勝手に寄生されて無理やり人殺しまでさせられながらもお腹の中にいることで微妙に分かり合ってしまうような奇妙なバディもののような感じなのもどことなくエモさがあります。
とはいえお腹の中の怪物とセックス観や人生観みたいな話をしたりするあたりはそこはかとなくじわじわ笑えるし、けっこうシリアスとギャグのバランスがいい映画だと思います。

またストーリーはわりと脈絡もなく行き当たりばったりで男たちを殺していくだけのものなんですが、その脈絡のなさのおかげで殺人シーンがワンパターンにならずに色んなシチュエーションでの殺しを楽しめるのも楽しかったです。特にキッスで殺す(?)ところと救急車のシーンは最高すぎた。

そしてそもそも全体的に変な話である本作ですが、終盤からラストにかけてがまた一段と変なことになっていて、ここはちょっとネタバレで書きたいのでコメント欄に。
青山

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