「あなたたちに不幸は似合いません」
「オトナ帝国」と並んで最高傑作との呼び声も高い、クレヨンしんちゃん映画の名作。僕個人的にもオトナ帝国よりはこっちの方を推したい。一番好きなのは「天カス学園」だけど。
ジャングル(2000)→オトナ帝国(2001)→戦国(2002)ってどうなってんだこの時代のクレしん。どうかしてるだろ。
野原一家が戦国時代にタイムスリップするというシンプルなお話。
ひとことで言うと、悲劇。終始子供向けじゃない。とても忘れがたい、とんでもない衝撃のラストを迎えるので、初見じゃない奴は途中からずっと泣きそうになりながら見るハメになる。かく言う僕もタイムスリップ直後からずっと泣きそうだった。又兵衛はじめ、春日の人たちの暖かさがこの後の悲劇をより強める。
自在に時を行き来できるドラえもんと違って、今作はタイムスリップ自体「運命の悪戯」、「天がチョッピリだけ許してくれた偶然の運命」以上の理屈がない。
何故しんのすけがタイムスリップしたのか、何故戻ってこれたのかが最後までわからず「結局何だったんだこの話は」と思わないでもないけど、それにしたって良い話だからまあいいかとなる。
お股のおじさんがずっとカッコいい。漢(おとこ)。武士の鑑。廉ちゃんや殿様も「将の器」でカッコいい。覚悟決めて義によって助太刀するひろしもカッコいいし、敵将としんのすけの間に刀構えて割って入るみさえもカッコいい。敵側のなんか強い武将もカッコいいよね。この映画カッコいいんだよ。悲劇である以前に。
ダンスマンが歌うED曲、歌詞の内容的にはマジで1ミリもあってないけど、スローでどこか寂しげな曲の雰囲気は丁度良い感じで結構好き。ラスト「おい、青空侍」のセリフがあってから、ややあって静かに入ってくるアルペジオが素晴らしい。
余談ですが僕には、一人でサイゼ行ってて、あまりにも注文来るの遅かったからスマホでこの映画見始めて結局メシ食いながら最後まで見て人目も憚らず泣いてしまったという逸話があります。