月うさぎ

バックドラフトの月うさぎのレビュー・感想・評価

バックドラフト(1991年製作の映画)
2.8
大人が真剣に火遊びごっこをしている映画…
今ではUSJのアトラクションになっている事で知られていますね。
この映画の主役は「火」です。
「火は生き物だ」と語られているように、消防士たちは火と戦っています。
それは戦争映画のようでもあり、怪獣映画にも近いです。
燃え上がり膨張し床を舐め天井を這い怒り笑う火
その美しさと暴力的な力を描いている。
炎の姿に圧倒されます。映画館なら特によかったでしょう。
しかし、大スクリーンで見ていないからなのか、火の熱さはあまり感じない映画でした。
あんなに燃え盛っている中で人間が呼吸できるとは思えません。
だから、かっこいいけど非現実的な感じがしました。
火が怖いものというよりも楽しそうに見えてしまう。
テーマパークのアトラクションにはもってこいってことですね。

ドラマ的には最初から、ああ、父さんが死ぬな、この人最後になにかするな、次に死ぬのはこの子かな、そして最後はこの人が…
と、まあ見事に予想通りにお決まりの展開でびっくりしました。

ロバート・デ・ニーロの制服姿はかっこいいですね。
放火魔ロナルドのドナルド・サザーランドの演技も凄く良いです。
バックドラフト現象についてのお勉強にもなりました。

しかしドラマ的にはイマイチでした。
危ない火災現場に消防士が幼い子供を連れて行く?
邪魔なら駐車している車のガラスを叩き割っていいの?
女はセックスシーンのためだけに登場したとしか思えません。
それも大したシーンじゃないときた。
兄を疑う場面なんかもっと丁寧に描きこまないとドラマチックにならないでしょう?
放火犯の犯行動機もなんだか浅いものでした。
しかも現場で襲いかかってきた理由が犯行動機の説明と理屈も心理も合いません。
自分は消防士を殺してもいいのでしょうか?

う~~ん。ストーリーには全然入り込めなかったですね。
男にしか通用しないストーリーなのかもしれません。男性ならきっと、男らしくてカッコイイとか父と息子、兄と弟の絆にじーんとするとかいう感想を持たれるかもしれません。

アメリカには1,200,700人もの消防士が活躍しているそうです。
いやいや「消防士」ではありませんでした。
ファイヤー・ファイターだそうです。
なるほど。だから火の中に飛び込んでいって勝った負けたという訳ね。

映画で熱くなったからと言って、
決して火を付けたくならないように。(^^)
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