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鏡の中の女のleylaのレビュー・感想・評価

鏡の中の女(1975年製作の映画)
3.9
怖かった。黒目の大きなお婆ちゃんにヒィィ。新居に引っ越すまでの2ヶ月、祖父母の家に住むことになったエニー(リブ・ウルマン)。エニーは精神科医でマリアという女性を診ているが回復に向かわず気に病む。このマリアの様子にもヒィィ。

途中で赤が出てきた時は『叫びとささやき』を思い出し、身構えた。赤ずきんのリヴ・ウルマンのシーンは不気味。私が観たベルイマン作品の中でも一番のスリラー作品かも。

エニーは、両親を事故で失い祖母に抑圧的に育てられていた過去のトラウマを思い出し、次第にマリアと同化するように精神を病んでいく。夫に愛されてない孤独感や祖母の前でいい孫を演じるストレスなど、いろんな引き金によってエニーの精神が悲鳴をあげたのだろう。祖母の過去の抑圧はベルイマンの父と重なる。

リヴ・ウルマンの迫真の演技はすさまじい。ほぼ1人舞台のよう。あんなに錯乱した精神状態だったのに、ラストはスッと霧が晴れたように“愛”で結実するなんて、さすがです。怖いから途中で観るのをやめようと思ったけど最後まで観てよかった。

生、死、孤独、恐怖、実在、愛…を見つめた作品だった。
「愛はすべてを包むのだ、死でさえも」
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