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マペットの宝島のRenのレビュー・感想・評価

マペットの宝島(1996年製作の映画)
4.0
これは...「デザインをポップにして間口を広げる」の大成功例では?『宝島』を、プロットをそのままに大胆リメイク。子ども向けであることに間違いないのですが、私は好きです。

当然のように人間とマペットが共存しているのが凄く良い。しかもお互いを、ちゃんと人間・マペットとして認識している。『ロジャー・ラビット』のやり口。
監督のブライアン・ヘンソンは、『パペット 大捜査線 追憶の紫影』で、本来 “リアリティラインを下げる側“ のパペット達がモラル欠如の言動をすることで面白さを出すことに成功した人(同作は悪趣味+ヘンな世界観なので万人向けではないです)。
今作も、終始ふざけ倒すのはマペットであり、行き過ぎたメタ発言は振り切っていて面白い。

「(人が死んで)これは子ども向け映画なんだぞ!」
(船に括り付けられているパペットが)「この映画を家で観ている人よりマシさ!」

メタ発言は爆発力がある一方で使い所が難しいのですが、今作は「人形を生きているように操っている人凄いなあ」という、観客の無意識の “裏方への敬意“ と、作り物の強調であるメタ発言がリンクし、清々しさすら覚えてしまいました。
しかもその中に、パペット映画でしか出来ないラストの展開と、そこへ向けての伏線をさらりと仕込んでいました。あの演出は見事。子ども向けに改変したことでしか出せない楽しさが、何個も盛り込まれています。
劇中歌も楽しく、冒険ものとしてのワクワク感も申し分無し!マペットのデザインが豊富なので、1950年のバイロン・ハスキン版より「裏切りと団結」行為の解像度が上がった気がします。ファミリームービーとして優秀。
個人的に、カーミットの口元の “布感“ がツボ。

最重要キャラの1人であるシルバー役のティム・カリー、なんか見たことあると思ったら、『ホーム・アローン2』のホテルマン役の人か!ちょうど良い威圧感とコメディリリーフとしての魅力が、この役にぴったり。
『宝島』を原案とするディズニー作品では『トレジャー・プラネット』も面白いので、よければこちらもあわせて。
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