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イラン式料理本
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『イラン式料理本』に投稿された感想・評価

亘

亘の感想・評価

3.7
【料理を担わされた女性たち】
世代の異なる6人の女性たちが家庭料理を作りながら自らの考えをカメラに語る。料理へのこだわりに苦労話、イラン社会への不満。イランの台所を映しながらイラン社会と慣習への疑問と実情を映す。

家事が女性に押し付けられるイランで、世代の異なる6人の女性たちが料理を作りながら自らの料理経験や考えを語るドキュメンタリー。ただ話を聞くだけではなくて料理を作りながらというところが斬新でイラン料理の勉強にもなる。イラン料理は家庭料理でも4時間かかるような手のかかる料理があり、監督も驚きながら会話する。確かにこの苦労は料理作りを見ながら出ないと分からないかもしれない。

冒頭はどの女性たちも明るく料理を始める。まるで料理番組かYoutubeチャンネルのように作る料理を紹介して材料を教えてくれる。とはいえそのうちに日頃の苦労も口にし始める。双子の息子を育てながら大学に行く女性やラマダン後の親戚の集まり用の料理をつくる女性たち。姑にいびられながら35年料理をしてきた監督の母。監督の母曰く、3食をすべて家族向けに作ると自由時間1時間以外はずっと台所に閉じ込められるのだ。

特に重みがあるのは監督の友人の母親。90代の彼女は少女のころに嫁いで13歳から料理をしていた。彼女は本作では料理をしないけれども姑から料理を一から教えてもらったことを語る。昭和の日本の家庭と変わらないのだなと感じる。

また異色なのが監督の妻。料理はするけども圧力なべを使うからほとんど手を動かさない。台所はきれいなままだし座ってカメラに向かって話している。彼女は最近のイラン女性の姿なのだろう。特に監督との話に出てくるクルミシチューのエピソードはその典型である。監督の友人を招いたときに友人たちは出されたシチューをおいしいとほめた。しかしそれはレトルトだったのだ。監督にとってこのエピソードは、最近のイラン女性の姿を示すために出したのだろうが、彼女の反感を買ってしまう。そもそも女性だけに料理を押し付けたり、手料理を期待する不公平に前々から不満を持っていたのだ。

ここで食事について見てみると、イラン料理は手が込んでいる。作るのはピラフやシチュー、ドルメ(塩漬けのブドウの葉に肉や具を詰めて煮込んだもの)など香辛料を何種類も入れていて手が込んでいる。特に監督の母のドルメは4時間もかかっていてこれをただの夕飯に作るのはきつい。

本作の終盤になってようやく男性たちが現れる、彼らは食べるだけなのだ。とはいえここで気になるのが一部の男性の発言。庭師の男性は料理より造園の方がつらいと話し、別の男性は料理の大変さを理解しつつも辛さの比較に意味はないという。極めつけはラマダン明けの宴会のシーン。監督の質問に対しては料理を作った女性たちへの感謝を示しつつも片づけは結局女性たちが行うのだ。

やはり人々の思考の根底に「料理・家事は女性が行うもの」という慣習のようなものが染みついてしまっているのだろう。イスラム教では一部性別による役割を規定しているらしいし、イランは敬虔なイスラム教国でもある。監督の妻のように先進的な人もいるけど社会全体の価値観が変わるのは遠い先になりそうに感じる。

手間のかかるイラン料理は、こうした女性たちの強制や努力によって支えられてきたといえるだろう。女性の社会進出や共働きを考えればイラン料理、特に家庭料理は変わらざるをえないと思う。特に4時間かかるドルメは維持できないだろう。ただ個人的にはドルメはアゼルバイジャンで食べたことがあって、これまでの海外旅行の中で最も気に入った料理の1つ(アゼルバイジャンではドルマ)。伝統として残ってほしいと思いつつ、家庭料理よりは特別な料理とか名物料理になるのかもしれない。

本作で一番の驚きは、最後の文章。監督は本作撮影後に離婚したのだ。きっと監督自身もこの程度で離婚しないと思ったのかもしれないが、それだけ不満が強かったのだ。女性の声を身を持って伝えた、監督にとって一世一代の作品と言えるかもしれない。

印象に残ったシーン:監督と妻が栗のシチューの話をするシーン。ラマダン明けの宴会の片付けのシーン。
本作の監督の周りの人々、母、妹、妻、義母、伯母、母の友人、友達の母親と、7つの家庭の主に台所を舞台にしてイラン家庭料理が作られていく過程をドキュメントした作品である。
この映画で初めてイラン家庭料理を見たが、ピラフ、肉団子、ナスの煮込みという、我々がよく知っている料理でも、「所変われば、品変わる」ではないが、作り方も出来上がりも全く違う。
登場した料理は家庭料理とはいえ、撮影しているので「特別料理」ではないかと思う。
ラマダン明けの豪華料理の品々やそのボリューム、そして大勢で食べる為に用意された皿の多さに圧倒される。
このラマダン明けのものを含め登場する料理は、手間を掛け、何時間も費やして作られていく。
本作ではベテラン主婦と若い主婦との対比も描かれる。
ベテラン主婦は長年の経験や感に基づいた匙加減で、手際良く調理していく。
作る料理が違うので単純には比較出来ないが、若い主婦は手際が悪く、ベテラン主婦の倍の時間を費やして作っているように感じられる。
そして若い世代は、急な来客対応には缶詰めを利用したりして合理的だ。
本作を観て、イランは未だ男性上位社会だと思う。
「家事」は妻の仕事、亭主は外で働いて「家計」を支えるという構図が見えてくる。
作品に登場する年配のお父さん達の発言を聞いていると、豊富な人生経験から来る「家族円満の秘訣」がポンポン出て来て、苦笑いしながらも何度も頷いてしまった。
イラン式料理は、我々が日常的に見るものとは違うが、その湯気の向こうにある家族の風景や人情の機微は、国は違っても変わらないと思う。
hitomi❤

hitomi❤の感想・評価

3.8
監督は 自身の育った環境が既に過去のものとなりつつあるのを感じていたんだろうね。
切実に身にしみたからこそ、この映画ができたんだろう。

女性がラマダン期の食事を準備する。イランの伝統料理は煮込み2時間とか、調理時間4時間とか 手間がかかっている。

男どもは 手際が悪いんじゃないか?などと平気で言う。
かと言って イランの料理を食べたがる。
台所に縛られてる上に、ねぎらいの言葉も望めない場合 気持ちは冷めていく。
その反対で、手厚いイラン式の家庭料理の中で育った監督が もてなす感覚のない女性には不満がつのる。

日本でも 家事の分担は女性というのが一般通念だ。だから 共感出来た。

しかし、食べる機会が無いけれど ぜひぜひ食べてみたい!イラン料理(^^)

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