映画武士道

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録の映画武士道のレビュー・感想・評価

3.8
ピングドラムで好きなイクニ監督作品です。
難解な作品が多いイクニ作品ですが、この作品もかなりぶっ飛んでました!
テレビ版も見てましたが劇場版はだいぶ違います。
私が気になった点は
①世界の果ての王子様こと鳳暁生が中盤で死ぬ。
(殺されていて死体が発見される。殺人犯は明言されていないが高い確率で姫宮が犯人。バラ園の中に埋まっていたのが印象的)
テレビ版の鳳暁生は死んでいません。テレビ版ではウテナは世界から消失することになってしまうのですが、それでも鳳暁生はケロっとしていて新しい計画でも立てるか・・・みたいなことを言ってる。テレビ版では全然懲りてないし、立場的にも霊的なパワー的にもさほどダメージを受けずにシリーズを終えています。

理事長の殺人事件の犯人捜し展開やって欲しかったです。

ちなみになぜか劇場版の王子様の声は及川みっちーが担当。正直ちょっと声の演技が棒気味でした。テレビ版の声の人が良かったと思うんですけどなんで変えたん?

②姫宮が劇場版の方がめっちゃかわいい
テレビ版では眼鏡をかけている表情の乏しい眼鏡美少女だった姫宮ですが劇場版では眼鏡をかけてない&ストレートのロングヘアでめちゃかわいいです!
そしてかなりアクティブです!終盤でサイバーフォミュラの機体みたいなのを運転して超絶ドラテクを見せつけてきます。なんと時速500キロで走行!
普通にプロドライバーになれますね。

ちなみに姫宮アンシーは初代ガンダムのララァの影響を受けてるという説を昔聞いたんですけどララァ感は劇場版の方が強く感じました。
(眼鏡してない不思議ちゃん美少女だから。あと褐色おそらくドラヴィダ人?)
でも褐色美少女つながりだとふしぎの海のナディアのナディアちゃんも劇場版は少し入ってる感じしましたね~。特に後半。時速500キロ(笑)のマシンをドライビングしてる姿とかw
劇場版の姫宮アクティブすぎ!絶対私より運転うまいです。

③ウテナのスパッツがかわいくない
劇場版のウテナのスパッツは白黒縦縞でイマイチです。テレビ版に戻して

④テレビ版ではウテナが犠牲になって姫宮の意識改革をもって少女革命成立!革命大成功!みたいな感じですがこの作品では物理的に姫宮とウテナの学園からの逃避行になってる

正直革命成立してんの?ちゃんと革命成立してるテレビ版の方が良かったかな

⑤使われてる曲、J・A・シーザーさんの印象的な曲がすくねえ!
エンディングテーマに至っては及川みっちーのノリノリの曲です。
絶対運命黙示録とかバーチャルスター発生学の曲がすごく作風に合ってる感じで大好きだったのに!なんでああいう曲じゃないんだろ・・・
残念。
バーチャルスター発生学は人生で何番目かぐらいに好きな曲なんですけど!劇場版でなんで使わないんだよー!

⑥少しネタバレになってしまいますが劇場版のウテナは全然へっちゃらな感じでエンディングを迎える

これはもう安易と言うか・・・うーん、、テレビ版の方が全然好きです。




総括しますけど、なんていうか。。。全体的にテレビ版の方が好きですね。
そもそも劇場版は革命成立してんですか?

ネタばれにギリならない感じで言うと終盤のエンディングでなぜか全裸になったウテナと姫宮が全裸のまま車で街を疾走してハッピーエンドみたいな感じになってるんですが、私が見た正直な感想は「全裸で街を駆け抜けるのが少女革命なのかな?」と思いました。正確には全裸で学園から逃避行して走り回ってる(笑)

リアルで全裸で街を走り回る少女がいたらそりゃ~革命起きたな!って思いますけど。
正直テレビ版の姫宮の意識が革命される展開の方が全然好きでした。
少女のいろんな意識的束縛が壊れていく。
ウテナと姫宮。女の子同士が好きになっちゃってもいいんじゃない?みたいな。それから姫宮がクズな兄に依存していて酷い扱いを受けていても(薔薇の花嫁という道具扱い。簡単に言うと決闘ゲームの賞品的な扱いで決闘の勝者に与えられる。所有者からの求めには基本なんでも応じなくてはいけない。たぶんエッチなことも。決闘で勝者が変わるたびに所有者が変わる。)抜け出せずにいたのがラストでは意識が革命されて兄と決別。世界から消失してしまったウテナを探す旅に出かける。
あのラストが良かったのに!

王子である鳳暁生さんもテレビ版では力を失った人外の神のような存在です。何十年前から老化してない描写と、本来奇跡を起こす力を持っている感じです。(理念と力の大部分を失った堕ちた神。なので妹を道具扱いしても平気だったり妹にえっちなことをしちゃう不道徳なことも平気でやる)
その力を取り戻すために妹の姫宮を道具扱いにして決闘ゲームをしている。逆に言えば神(作中では理想の王子)の復活という大義のために姫宮はあえて犠牲になってる部分があるという大義名分があるのですが、劇場版ではただの妹を道具扱いした挙句えっちなことしているクズでしかない(笑)。
これはストーリー上かなりの劣化ですよ。
テレビ版の姫宮の兄との決別は神との決別でもある感じです。(神からの自立)
もっと言えばテレビ版は姫宮という少女の意識革命と神からの自立。みたいな高尚なストーリーを感じるのですが、劇場版は姫宮がエッチなことをしてきたりするクズな兄を殺害。そんでもって犯行現場である学園から裸で逃走!というストーリーですw
上記で革命成立してないんじゃない?みたいなことを書きましたが、少女革命が成立とすれば姫宮がクズな兄を殺して全裸で逃避行してクズ兄の束縛から解放される感じですかね。

まあ時間の関係でテレビ版ほど詳しい説明できない部分があるので仕方ないんでしょうけど。

あと、わかめくん(西園寺莢一)が作中でめっちゃ性格悪くて姫宮の所有者になったのをいいことにいろいろえっちなことを強要するクズって感じだったのに終盤に再登場。劇場版ジャイアンのような変貌ぶりで「ここは俺に任せとけ!」みたいなことを言って爽やかに笑って助けに入ってきたのは正直笑いました。

作中で明らかにサイバーフォミュラ感がある演出があったり途中完全にレースアニメ作品になってたり。そしてラストは美少女二人が全裸で街を疾走。
完全にイクニさん、趣味に走ってないですか?
あとガソリンスタンドにある洗車機が襲い掛かってくるシーンがあるんですけど、何か映画で元ネタがあるんですかね?
それともイクニさん洗車機で大切な車に傷でもついたトラウマでもあるんでしょうか。
この映画を見ると怖くて洗車機使えませんw

それでもさすがイクニさん。演出はかなり面白かったです。
「かしら?かしら?」の演出(影絵の女の子が噂話をする演出)はこの作品で私が一番大好きな演出なんですけどこの劇場版でもやっぱ良かったですね~。
あとイクニ作品で言われるミュージカル風演出も光ってました。
なんだかんだ言ってイクニ作品はいいです!

正直テレビ版が良すぎましたね。テレビ版は星1プラスです。
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