中世に作られた礼拝堂。
音響効果がいいというので今は演奏場に使われている。
ここで、
あるオーケストラのリハーサルが行われることになった。
テレビ局もこの模様を取材しにやってきている。
が、
この仕事にはギャラが出ないということが発覚し、
楽団員たちは大荒れ。
演奏放棄どころか、会場をめちゃくちゃに荒らしてしまい、
収拾のつかぬ事態に・・・
物語は、
楽団員一人一人にインタビューをする。
楽器に対する愛、自分の生い立ち、
オーケストラにおける自分の役割など。
イタリアではこの独白が、
労働階級の反逆だとひと悶着あったそうだ。
私は、
混乱と調和の映画だと思った。
オーケストラは自分勝手に演奏しても、
それは不協和音でしかない。
指揮者のタクトに従い他人の音と合わせてこそ、
美しいハーモニーが生まれる。
この指揮者は散々な目にあう。
おそらく映画制作時のフェリーニ自身を投影したものだろう。
大混乱の中でも、凛としてタクトを振り、
大声で叱責する。
政治的な映画としてみようと思えば、
そう見えないこともないが、
そこまで深読みする必要はないと思う。
大混乱の演奏現場で、
どういう風にして楽団員をやる気にさせるのか。
それは、観てのお楽しみということで。
偉大な作曲家ニーノ・ロータの遺作です。