からんころん

シャインのからんころんのネタバレレビュー・内容・結末

シャイン(1996年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

初見は22年前。
そこから定期的に観るのだが、その度に自分の感じ方が変わる映画。
(実話ベースなのだが、賛否両論あったと聞いた。)

最初に観たときの心情は完全にデイヴィッド寄りで、父親がマッチョイズム丸出しの酷い父親だとしか思えなかった。
実際、作中では父親の影響で彼の精神が壊れていく過程が描かれている。
そして、その裏のテーマとして母親の愛の不在も描かれている。実はこちらのほうが伏線としては重要。というのも、それはデイヴィッドがずっと求め続けたもので、最終的には得られるのだけど……
(そうなるのも仕方ないよねとは思うが、個人的に好みの展開ではないなー)

何度見ても、終盤のトランポリンのシーンで涙がぐわーっと出る。

年を食ってから観賞すると、デイヴィッドの父親の苦悩もわかるし、母親の無気力さやジレンマもわかるし、デイヴィッド自身も優しすぎて環境に抗えなかったということも、みえるようになった。

誰かが悪いという単純な話ではなく、大人になる過程で、みな多少なりとも心に傷や生きづらさを抱えている。
それに対してあまりに思い入れが深いと、親になるような年齢になっても自分の中で感情の折り合いがつかなくなる。そして、自分が得られなかったものを子どもに託すようになる。

でも、あまりに強い拘りは「毒」だ。
拘りを捨てられないと、自分と同じように周りの大切な人たちを傷つけ、下手をするとその人たちの人生を大きく捻じ曲げてしまう。

人生は、自分の拘りをいかに捨てるかなのかなと思った。それがすごく難しいのはわかる。
だけど、この映画を見るとすごく大切なことだとわかる。

若いうちに出会ってよかった。
今後も何度も観るだろう。
からんころん

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