つめけん

Kids Return キッズ・リターンのつめけんのレビュー・感想・評価

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)
3.5
「俺たちもう終わっちゃったのかな」

挫折の話。若者のぼんやりした絶望が克明に描かれている。人生ってなかなか上手くいかないものですね。

耳障りの良さげな言葉を使って、堕落した自分と同じところに他者を引き込もうとしてくる林先輩。凄いキャラだった。
ああいうロクでもない先輩とどう付き合っていくかってのが、人生において最も大事なことと言っても過言ではない。
シンジは自分がないし、人を見る目もない。付き合う人さえ違えばもっといい人生を歩めるように思う。

マサルはもう、あそこから人生始めるのは無理じゃねぇかな…。若気の至りと切って捨てられないほどやらかしてるし。

脇道的に語られるタクシーの奴の人生も、平々凡々としているからこその絶望があってなかなかつらい。

タクシー内での大杉漣のやや壊れちゃったリーマン演技が完全に"マジ"なのが怖い。いるよねああいうちょっと危ない人。


チャリンコでふらっと通りがかってターゲットの命を的確に奪っていくヒットマンが印象的。ソナチネの釣りのオッサンやアウトレイジの高橋克典と並ぶ、北野映画の仕事人。かっこいい。
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