世界一の美女ダンサーと謳われたモダンダンスの祖であるアメリカ人、イサドラ・ダンカン（1878-1927）の半生を描く伝記映画。

以前『ザ・ダンサー』（ジョニデの娘がイサドラ役で踊ってます）を観て独特の踊り方に驚いたものでした。


イサドラ（ヴァネッサ・レッドグレーヴ）は40代になって波瀾万丈の半生記を書いている。
その都度の過去を思い出して若い頃に画面が変わる。

12歳の誕生日にある誓いをする。
「私は芸術と美の追求に身を捧げ、独身を貫きます。結婚はしません。真実と美に反するものに決して従いません。誓いの印に両親の結婚証明を燃やします」
そう言って部屋で本当に書類を燃やすのです。
　
このシーンだけで、意志の強い風変わりな女の子と解りますが、母親から音楽の基礎教育を受け、早くから規制の踊りに満足出来ずに自分らしく心からの表現を体現していきます。12歳で決めた事を大人になっても実践していくのです。

初舞台では野性的でありながらも、しなやかさと力強さのある踊りを披露し、貴族らがスタンディングオベーションとなり気持ちが高揚します。

それから認められていきヨーロッパの各地を風靡していきます。
そしてダンス学校を作り指導もします。

踊りは裸足で布を纏っただけで自由なのだが、男性遍歴も激しく自由奔放。
詩人で舞台装飾家のゴードン・クレイグと熱烈な恋に落ち、娘を産む。当然籍を入れず、クレイグはイサドラのもとを去る。
その後、シンガーミシンで有名な億万長者のバリス・シンガー、次はピアノ伴奏者のアルマンと恋をする。

1921年にソ連に渡った時に巡り合ったセルゲイ・エセーニンとは一瞬で激しい恋に落ちる。公私共に華々しくソ連で成功を収め、その後、2人でアメリカに凱旋するが、アメリカの大衆は冷やかに迎え、エセーニンも彼女から去っていった。

回想していたイサドラは、ふと窓から見た若いイケメンの運転手ブガッティに心魅かれる。数日後、パーティでブガッティを見つけたイサドラは興奮し、2人で踊ったあと彼のオープンカーに乗り込む。車が走り出した時、イサドラの首に巻かれたトレードマークのようなフワフワなスカーフが車輪に巻き込まれ首が締められてしまう。なんとそれがイサドラの最期だった。

「私の身体は美しい、私の身体は自由よ」と言いながら踊り、感情のまま男を渡った末、50歳で息絶えてしまったのだった。

本人は幸せな人生だったのでは？
その後、娘はどうしているだろう？

ヴァネッサ・レッドグレーヴ（当時31歳）は身体張って踊っていますし、ヌードにもなります。本当に美しいのでイサドラ役はハマっていました。


※leylaちゃん、ありがとう。元祖モダンダンサーを良く知れて勉強になりました。

• #のんchanおすすめダンス

モダンダンスの祖として知られるイサドラ・ダンカンの伝記映画。本人にそっくりなイギリスの名女優ヴァネッサ・レッドグレイヴが大熱演、オスカーにもノミネートされました。

サンフランシスコに生まれたイサドラは、幼い頃からダンスに自分の人生を捧げることを誓い、ダンサーとしての仕事を重ねていたが、既成の身体表現に限界と違和感を覚えたことから、古代ギリシャの芸術からヒントを得た独創的なダンスを踊り始め...。

いやー、本当に文字通り波乱の人生を"駆け抜けた"人物だなと。イサドラが我が道を衝動的に生きていくその姿は、たくましく芯の通った女性そのもの。自分の限界を定めず、常に時代に先駆けたアーティストであろうと目指し、モダンダンスという斬新かつ崇高な表現を生み出した華々しい偉業は今もなお語られ続けています。その活動範囲もアメリカにとどまらず、ヨーロッパやソ連（しかも革命前夜...！）など、フィールドを大きく変えていく行動力もまた凄まじい...！！「私は美しいの」とはっきり言い放つくらいには自信に溢れているのも、そんな才能や情熱あってこそなので納得です。一方で、とっても悲しい私生活もありつつ。
感性のままに踊り続けるのと同様、感性のままに恋をするイサドラ。作中には3名の運命の男性が登場するのですが、それぞれと情熱的に恋愛をし、得るものもあれば失うものもあり、次第にイサドラの心にも変化が...。時代もまさに激動の最中、どんな苦難に苛まれようとも踊ることはひたすらやめなかったその姿に、現代の我々でも感化される部分が多くありました。
とはいえ、あまりに我が道を行きすぎて、時に周りの反発を食らうこともあったようなのですが、確かに激しい性格すぎて視聴者でさえもハラハラ...。天才は時に常人には理解できない発想や行動をするものですが、イサドラもその典型のような描き方をされていました。
ラストはあまりの衝撃にしばらく呆然。この壮絶な最期は本当のことだったと思うとますます言葉を失います...。

ヌードもあるし、何より舞踏シーンも吹き替えなしで挑んだヴァネッサの体当たり演技はとにかく圧巻。イサドラ・ダンカンが実際に踊る映像はほとんどアーカイヴされていないそうなので、撮影当時どんな風に役作りしたんだろうととにかく不思議...。改めて俳優さんって本当にすごいですね。
ヴァネッサも良かったけれど、名優ジェイソン・ロバーズが2人目の恋人を演じていて、これまた良い味を出していました。

ヴァネッサ・レッドグレーヴ目当てに視聴。イサドラ・ダンカンに関しては、有名なあの死に方（黒柳徹子がたしかエッセイに書いてた）しか知らなかったです。
モダンダンスにうといので、最初の方のひらひらした踊りはよくわからず、というよりなぜイサドラのダンスがあんなにも人気の理由がわからなかった。
でもいろんな男の人とつきあって子どもを生み（でも結婚はせず）その生き方は共感はしないけどおもしろかったです。生き方＝踊りなのだろうから良いんですけど、そういう彼女にお金を出し続けてたお金持ち男性もよくつきあったよな。

そしてロシア人詩人とつきあい、アメリカでアカ扱い。
そのときに踊った「解放の踊り」は本当に本当に素晴らしかったです。
ヴァネッサ・レッドグレーヴ自身も反体制運動に熱心だったそうなんで、力が入っていたのか。