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メン・イン・ブラック3のよーだ育休中のレビュー・感想・評価

メン・イン・ブラック3(2012年製作の映画)
4.0
月面のルナマックス刑務所に収監されている凶悪なボログダイト星人が脱獄。左腕と自由を奪った憎きMIBエージェントに復讐すべく、地球に降り立った脱獄犯は時間遡行装置を持つエイリアンに接触する。


◆ Black in Time

地球にやって来たエイリアンたちの管理監督を秘密裏に行っている組織MIBに所属する若手エージェントJ(Will Smith)とベテランエージェントK(Tommy Lee Jones)の活躍を描いた大人気SFコメディ作品『メン・イン・ブラック』シリーズの三作目。魑魅魍魎たちが影に潜み蔓延るマンハッタンの様子はさながら欧米版の百鬼夜行。この怪しくて雑多な雰囲気がやっぱり素敵。

一作目はその独特な世界観と気持ちが悪いヴィラン。そしてコミカルな掛け合いのバランスが抜群で、ストーリーのテンポも良い、非常に完成度の高い作品に仕上がっていました。

二作目はその世界観が深堀され、登場するエイリアンたちのバリエーションが増えたものの、お色気やお下品路線のコメディに振りすぎてしまったのが少し残念でした。

今作はコメディのお下劣さが露骨すぎず、ヴィランの造形が程よいキモさで、捻りを効かせたプロットもよく出来ていたと思います。『バイアグラン星人と新薬の打ち合わせ』『大統領がチョコミルクを飲んでる』くらいのレベル感が丁度いいです。


◆ This is my new favorite moment in human history.

今作は《アポロ11号の打上》という宇宙に関連した合衆国の一大イベントを取り入れながら、従来の宇宙的SF要素に加えて《未来視》《タイム・トラベル》といった一味違うベクトルのサイエンティフィックな要素を加味したプロットでした。

若き日のKを救うために過去へと跳んだJ。1969年を舞台に新JKコンビが奮闘するため、お馴染みのTommy Lee Jonesの出番が少なかったのは残念でしたが、当時のK役にキャスティングされたJosh Brolinが凄く良かった。お顔立ちがそっくり!

タイムトラベルしたJがヴィランを倒して未来のKを救うメインプロットは勿論ですが、《Jが父親を思い出せないこと》《Kがケープカナベラルの事件についてJに話したがらないこと》の真相が明かされるというサブストーリーも素敵でした。


元々コメディ作品という基盤があるので、時間遡行に伴う整合性みたいな小難しいことはそこまで大袈裟に考えずとも成立するのは本シリーズがタイムトラベルを取り入れる上でのアドバンテージだったと思います。過去の世界でハイスペ宇宙人をナビゲーターに据えたのも良かった。シリーズの世界観を壊すことなく、新しいカラーを添えた新作のアイデアはとても良かったと思います。