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祈るひとのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

祈るひと(1959年製作の映画)
3.7
芦川いづみが美しい。それに尽きる。

子供の頃から鋭い感受性で家庭内に漂う無言の不和を感じとっていたアキ子(芦川いづみ)は結婚に二の足を踏んでいる。

そんなアキ子がさまざまな夫婦のあり方、女性の生き方を知り、また母(月岡夢路)から真実を知らされ、頑なで潔癖なお嬢様から一歩前進して女性として自立するまでの葛藤を文学的に描いている。田宮虎彦原作。

芦川いづみの透明感ある美しさとは対照的に、艶やかな月岡夢路のたおやかな所作が作品に色味を加えている。こんなお母さんなら男性はほっておかない。

芦川いづみと月岡夢路には、昭和30年代の落ち着いた住宅地の暮らしが実によく似合う。大学教授の父、医師の叔父、食事は料亭。言葉遣いの美しさ、丁寧な人間関係。

お見合いした男性が最初から強引でよかった。少しずつ本性みせられたり、隠されていたら、男性と付き合ったことのないお嬢様のアキ子はきっとわからなかっただろう。


田宮虎彦先生の著書が編集者だった父の本棚にあったのを思い出した。田宮先生と呼んでいた。小さい頃、何度か連れて行ってもらったことがある。アキ子が引っ越した先の家によく似ていて、芝生と花壇、パーゴラ。落ち着いた昭和の家屋、アメリカのお菓子をもらった。優しい笑顔の先生だった。

*トシオ88さん、ご紹介ありがとうございました😊
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