レオピン

風のある道のレオピンのレビュー・感想・評価

風のある道(1959年製作の映画)
4.0
適齢期を迎えた三姉妹の話かと思いきや、いつの間にか父母の過去のドラマもあり。こんな展開になるなんて。ゆっくりな所と急展開なところとが緩急ついていて、飽きさせなかった。

公開は皇太子ご成婚ブームの頃。結婚相手の選択ということにみなが意識的だった時代なのかな。同じ文芸作品の『祈るひと』のように、母をある意味反面教師にするいづみちゃん。その決断のサスペンスはお見事で、短い時間で巧く見せる。
あれは、先日スマホを買い替えた時、最後までカラーで迷い、契約書を書きMNPの手続きも終えて尚、店員のあきれ顔を無視し最後まで悩んだオレと一緒だな。だが本来決断というのは追い込まれたら負け、直感にしたがってまず間違いはない。

大体あんなピエール瀧にしか見えない小高なんてすぐ切らなきゃ。よく子供とか店員さんとか立場の弱い人への対処を見ればその人が分かるというではないか。おいボーイとか、おい君とか言ってる奴にマトモな人間はいない。しかし嫌な見合い相手とか性格悪い人物をやらしたらピカ一だな。

生まれついての貴人である芦川いづみの天然ぶりはあいかわらずで、寝床で三女に向かって長語りをはじめるもとっくにスヤスヤ寝入っている妹。
今回一番の功労者、キューピッドはこの三女の清水まゆみ。彼女の引いた視点は末っ子特有のものだし、あるいは父の大坂志郎の性格譲りなのかもしれない。たぶんあの家で父と一番ウマがあうのは三女だ。彼女は結婚で親に苦労をかけるということはしないだろう。

今回のいづみちゃんは被虐レベルは軽い方だったが、机につっぷして悶々とするところ。ギリギリまで決断を迫られるという意味においては、やっぱりしっかりと追い込まれていた 笑

最初と最後のマヒナスターズの歌声が何とも言えない味わいを残す。あの歌声を聞くだけで一気に哀愁に包まれる。マヒナといえば、本つゆ~でいかがでしょうかのCMソング。役者のいい出汁がたっぷり出ていて、まさにおいしい鍋のような作品。家族団欒で見れますですよ。
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