コータ

霧の旗のコータのレビュー・感想・評価

霧の旗(1965年製作の映画)
4.5
山田洋次監督には珍しいサスペンス作品。松本清張原作、橋本忍脚本、倍賞千恵子主演。

主人公・桐子は、正当な裁判を受けられず無念の死を遂げた兄のために、弁護士への復讐を開始する。

倍賞千恵子の演技力が終始際立っていた。冒頭ではメイクも表情も素朴な印象だった彼女が、やがて熊本から上京しホステスの職に就き、したたかな復讐の鬼へと変貌していく様がなんとも恐ろしい。

不条理な社会矛盾が、不条理なリベンジを招く。血を以て血を洗う報復劇。

これは『ゴーン・ガール』などの女性映画や、昨今の「文春砲」などにも通ずる、非常に現代的かつ普遍的な出来事を扱ったストーリーだ。

なんとも胸のすっきりしない話ではあるものの、映画としての面白さ・カタルシスは存分に得られる作品となっているのでオススメしたい。
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