亜留

ふたりの亜留のレビュー・感想・評価

ふたり(1991年製作の映画)
4.0
原作は上野のブックオフで買ったんだけど、尾道に行った時ブルーレイに出会ったのに買うのを忘れてしまって、今は「原作もブルーレイもメキシコへ持って帰れたのに」と悔やんでいる。

その原作を読み終わったってことで4年ぶりに大好きな大林監督の作品を、2回目に見てみた。

主人公の実加は事故てお姉さんを亡くすんだけど、その追悼を乗り越えたと思ったら、今度は家族や学校の先生、いろんな人から亡くなったお姉さんのような立派な人になるのを期待されている。実加自身もしばらくそうしようとするんだけど、そうしちゃいけないとわかったのはなぜかというと、それは、過去と向き合ったからなんだと思う。過去は拘っちまうものでもなければ、時間が経つにつれてただ忘れていってしまってもいいものでもない。むしろ向き合っていかなければならないものなんだと、今回、原作を読んで久しぶりに映画も見たら思った。実加も過去と向き合って、お姉さんも長女としていろいろ大変だったことがわかったし、実加のお父さんもそうして、千津子には厳しすぎたことがわかって、実加にはあまり厳しくしないようにしようと決めた。過去は向き合わないとわれわれを構成する一部とならないというのことは、この映画にきれいに描かれていると思う。

久石譲の作ったサントラも、リレー走のシーンのトトロみたいな音楽を除いてすごくいいと思う。初めて見た時もそうだったんだけど、今回もまたしばらく頭の中でずっと「草の想い」を繰り返していると思う。

ちなみに、ひとつおもろいと思ったんだけど、大林監督の映画で、岸部一徳がネクタイのせいで怪しまれる男の役を演じるのは2回目(笑)
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