みんと

パリの大泥棒のみんとのレビュー・感想・評価

パリの大泥棒(1966年製作の映画)
3.7
『死刑台のエレベーター』『さよなら子供たち』のルイ・マル監督がジャン・ポール・ベルモンド主演で描く泥棒活劇。

ジャケの雰囲気そのままに、構図重視のカメラワークが何ともお洒落な作品だった。

裕福な家庭に生まれながらも12歳で孤児となり伯父に引き取られたベルモンド。従妹と共に成長するが、伯父に遺産を横取りされたうえ、愛する従妹は別の男性と婚約。復讐の為に手を出した泥棒稼業も、その後パリでは知らない者の居ない大泥棒となった…

何と言っても髭を蓄えた若きベルモンドが魅力的。一見ルパン風のビジュアルも、しなやかで軽快な身のこなしと言い、お洒落な泥棒ファッションと言い、ガハハ感とは無縁の泥棒ぶり。

若干のゆるさと起伏の無さに中弛みは否めないものの、宝石だけじゃなく美女の心も確実に盗んで行く、決してギラギラしないスマートさが何とも素敵。

淡々と飄々と、通して漂うフランスムードとも相まって復讐の為の盗みが もはや当たり前となってしまったベルモンドのそこはかとない哀愁が素晴らしかった。

ラストの表情も絶妙だし素敵。
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