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わが青春の輝きのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

わが青春の輝き(1979年製作の映画)
3.0
No.644[恋愛と自由は同じ天秤には乗らない] 60点

真剣に"1001の映画走破"なる企画に飽きてきた。というのも、鑑賞困難作品として有名だった本作品や『ワンダ』、『雲のかげ星宿る』などが相次いでソフト化され、『クール・ワールド』に至ってはフィルムセンターで日本語字幕付きで上映されるのだ。簡単に観られるようになるのは良いことだが、難易度の下がったリストには正直萌えない。非線形天邪鬼なもんで。あと、全体的にそこまで入手難易度高くないことに気付いてしまったというのもある。慣れって怖いね。現状一番難しいのは、『野良犬たち』か『Deewaar』な気がしている。

入手難易度の高い映画の醍醐味として、入手難易度の割に映画が面白くないってときの高低差を感じるということがある。耳がキーンってなるやつ。3万もしたんだからちょっとは引っ掛かってくれ!という思いと、普通に借りて観た場合に出てくる感想に齟齬が生じるのだ。そういう時、私は大体ちょっと高めの点数を出しといて、買った苦労を忘れた頃にめっちゃ下げるようにしている。そうでもしないと、バイトする時間もそんなにない学生の財布に顔向けできない。本作品は数奇な運命をたどり、タイミングが良かったおかげで、そんな思いをせずとも自由にレビューが書けるようになった。それに感謝したい。

物語の中心は自由に生きたい女性である。しかし、時代がそれを許さない。好きになった相手でも結婚は嫌だし、自ら孤独を選んで孤立無援の闘いに挑むことになっても、しょうもない伝統を取るくらいなら孤独を選ぶ。初志貫徹とは正にこのことであり、ハリウッド映画にありがちな意味不明な情緒で流し去るおセンチ映画とは一線を画している。宗教映画にありがちな信仰と神の不在というテーマに悶絶する神父のごとく、恋愛と自由を天秤にかける我々が存在しているのだが、シビラには天秤など端から存在してないのだ。出来ればどっちも欲しいけど、比べるまでもなく自由が欲しいので恋愛は取らない。

ただ、フェミとかそういう視点を一切取っ払った時、恋した相手との関係の発展に躊躇している人にしか見えない。自由には責任とそれなりの犠牲がつきものなんで、さっさと別れてやりましょうよ。あの時代から100年経っても自由と恋愛は両立出来ないんで。

私も野原で枕叩きやりたいのでメンバー募集中です。
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