Moomin

阿賀の記憶のMoominのレビュー・感想・評価

阿賀の記憶(2004年製作の映画)
5.0
「阿賀に生きる」から10年の時が経ち、再び阿賀にカメラを向ける
そこには撮影に協力してくれた人々がいない世界が広がっていた 佐藤真さんは小林茂さんは、その目を通してカメラを通して「不在」をいかにして描いたのか
そもそも「不在」として描いたのか
ただただゆっくりとしたカメラのパンに、インタビューや唄が乗っかる 同時録音を感じ得ない作風
ただただゆっくりとした画に観客に何を感じ得させるのか はたまた佐藤真さんの葛藤なのだろうか
一つ、次元を超えた作品を観た気分

「阿賀の記憶」解説書の佐藤真さんの言葉に、小林茂さんが途中病で倒れたこと フィルムを回す手が止まらなかったこと 結果「阿賀に生きる」が新たな観客の琴線に触れる度に他人事のように感じる。そのひとり歩きが、映画の残酷さであるか、映画の永遠の命と捉えるか。カメラの暴力性もかけがえのない痕跡の永続化も、映画という表現の裏と面の出来事であること
いかに感傷に陥らないかを模索した作品であること
画面には映っていない「明治の痕跡」 これが映画で希求した唯一のこと
解説書ありで、「阿賀に生きる」込みで、1つの大作映画を観た
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