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ジャスミンの花開くのドラのレビュー・感想・評価

ジャスミンの花開く(2004年製作の映画)
3.8
チャン・ツィイー が1930年代、50年代、80年代を生きた3人の女性「茉」「莉」「花」を演じ、中国の歴史を女性の目線から描く作品。

チャン・ツィイーが3世代を演じ分けるんだけど、
どの女性も幸せな女性ではないんだよねぇ・・・。
一見、子供ができる事が、すべて悪い方向に向かっているような気にさせてしまうような話なのだ。
でも、それだけ“子供ができる”って事がどれだけ重要な事なのかって事なんだろうなとも思った。

「茉(モー)」は女優を夢みてこれからという時に身籠もり夢を叶える事ができず、ずっとあきらめきれない人生を送る。
その娘「莉(リー)」は不妊症である事を悩む。彼女を気遣う夫が養女をもらうが、幸せな時間は長く続かず、夫を愛するがゆえに、愛する夫が自分の母や娘に優しくするのに嫉妬し、精神を病んでいく。
そして莉(リー)の娘・花(ホア)もまた愛する人に裏切られ、ひとりで子供を産む。

人の運命って、本当にわからないものだし、それが結婚や子供ができる事でものすごく変わっていくんだろうと。
でも、それがないのも運命って事だし。

でもね、二人目の莉(リー)は不妊症だったから、娘の花(ホア)は養女なんだけど、茉(モー)と花(ホア)は、
“子供を産む事が決して幸せではないかもしれない状況”になってから、産む決意をするのだ。
中絶する道ではなく、産むことを決めるの。

“状況的に正しい選択”っていうのは、誰が見ても“堕ろす”事なんだけど、そこにはやっぱり子供がおなかに宿った女性の心理というか決意というものが生まれるんじゃないかと。

妊娠した事ないからわからないけど、
子供ってさ、産まれてからが子供って事じゃないんじゃないかと。
おなかに宿った時点でもう自分の子供なんだよね。
だから中絶も、産まれてからの子供を殺すのも同じ事なんじゃないかと思ってしまった。

だから2人が産む決意をしたんじゃないかと。
自分が愛した、その子供の父親は去ってしまったのに。
そして2人はそうやって産まれた子供に助けられたのかも。
で、皮肉な事に、3人の中でただ一人、愛する人がそばにいてくれた莉(リー)は、不妊で子供が産めず、結果として夫を追いつめてしまう精神状態に陥ってしまうのだ。

わかりやすい映画ではないのよね~この映画。
何が描きたかったんだろう、何が言いたいんだろうと考えてみたけど、どうも3人目の娘・花(ホア)にいきつく為の物語なんじゃないかと考えると、なんとなくわかるかもな~。

女だからこその決断と生き方を描いた作品ですかな。
チャン・ツィイーの雨の中の出産シーンは圧倒されます。。そして、ラストに娘・花(ホア)が夢見た情景が映し出されるところで涙・・・。

まさに“女”が主役の物語。
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