こぅ

モンパルナスの夜のこぅのレビュー・感想・評価

モンパルナスの夜(1933年製作の映画)
3.8
【望郷】、【舞踏会の手帳】のジュリアン・デュヴィヴィエ
監督による、メグレ警視もの【フレンチ・ノワール】。

バーで借金がかさむフェリエールのもとに叔母(資産家)の
殺害を請け負うというメモが届く。その後、叔母は殺され、
ウルタンという男が疑われるが…。

所謂、犯人探し、どんでん返し類いのサスペンスを期待すると
肩透かしを喰らう、焦点が違う、、

序盤の【請け負い殺人】というプロットにワクワクしたが、、

濡れ衣男の後にひょっこり現場に登場する◯、、(これが
不自然だ)この先、真犯人へのツイストがあるだろうと観続け
るが、、観たまんまで、、ミスドも無い。

しかも、観る者も明らかに分かっている事実をわざわざ
ご丁寧に現場検証、これは退屈だ。

これは犯人キャラの【異常性】を観る作品であろう(犯人
役、ヴァレリー・インキジノフの怪演)。
人間の心の歪み(病み)、他人への妬みからくる犯罪の元祖。
金を持っているのに無銭飲食しようとしたシークエンスで、
その異常性の片鱗を見える。

真犯人の明らかになる狙いは金よりも、、

もう一つの見処は、映像(撮影)で、長回し、陰影、鏡を
使った構図や実験的なのか⁉︎何回かハッとさせられる(唐突
な度アップ、聞き込みでのスクリーンプロセスとか)。

特にラストの犯人の【逃走】を捕らえたカメラは一見の価値
有り。

が、シークエンスの繋ぎ方が雑(唐突)なのはわざとでは無い
だろう。


ラスト、
犯人の最期(死に様)は、ヨーロッパ作品に見受けられる系。


シャンソンの歌詞と犯人像が被る演出も効果的。

ジュリアン監督のヴィジュアルから非凡さが窺える仕上がり。
こぅ

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