こぅ

呪いの血のこぅのレビュー・感想・評価

呪いの血(1946年製作の映画)
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'24 4/18最新ジャケ写に変更していただきました。

【ハスラー】のロバート・ロッセン脚本、
【西部戦線異状なし】、【オーシャンズ11】のルイス・マイルストン監督(51)による、
埋もれた佳作【サスペンス】。


嫌いな叔母の家から逃げる事ばかり考えている少女、マーサは、脱出を試みたある日、過って伯母を…。


★脚本
起承転結がはっきりと丁寧に描かれている。
冒頭から
15分間の幼少期の人間関係/状況ときっかけとなる 尾を引く事件 を 序章 と捉えると、以降18年後からの開始を第1章(本編)として、実質の主人公が明確になる(OPクレジット的には、バーバラ、ヴァン、リザベスは同等扱い)。

序章の主要幼馴染3人の内の1人、サム(名優ヴァン・ヘフリン)の久々の帰郷に新加入として出会うワケアリ女、アントニア・マラチェ、演ずるは、低音ボイス悪女顔のリザベス・スコット という事で、否が応でも何かしら歯車が狂う事を予兆/期待させる。
"この2人のやり取りが冗長/無駄"との声もあるが、心を寄せる2人 という役割で説得力を持たせているだろう。
また、
後に続く 丁寧 なトータルバランスも保たれている。

次に幼少期事件の首謀者のマーサ(バーバラ・スタンウィック)とウォルター(カーク・ダグラス)の現状。
ウォルターは、力のある検事に、マーサはその妻になっているのも展開に重要な意味を持たせている(後にその経緯も描かれる)。
そこに
サムとアントニアが絡んで、過去の事件から新たな事件を生む流れ/構図が簡潔だ。
そこには四角関係/愛憎が邪魔にならずに、いや寧ろ必要不可欠で見事に溶け込んでいるのだ。
サムの ブレ は指摘したいが、エンタメ観点からは仕方あるまい設定。
全く ブレ知らず だったのは、、

終盤/クライマックスには、
安易な予想を裏切る用意周到の二転三転。
悔い改めるサム、、


ラストは、
予想外で、邦題の久々 上手さ に頷く、
ある意味 ホラー な怖い結末だろう。

サムを受け入れる女、
それは良い女なのか、甘いのか、、
男女でも評価がガラリ変わりそうな締めだ。


★総評/見どころ
鑑賞前にタイムが少し冗長気味な分、丁寧且つ無駄の無い展開で4人の心理/思惑も分かり易い脚本で、二転三転も装備して飽きさせない脚本は上出来。

幼少期からの主要キャラ3人を大人にしても性格的に 違和感なくそのまま移行 させているのもポイント。

見どころの1つとして、
本作デヴューのカーク(30)の名優達に引けを取らない堂々たる演技も確認。

総体的に撮影も演出(ライティング含む)も
再見すれば、より深く楽しめそうな余地有り。

テンポが悪いんじゃなくて丁寧。
忙しくなく ゆったり展開を楽しみたい時/者向け作品。

原題、主役とキャスト、
セオリーから外れている異色の印象も持つ、、
そこは、妙に引っ掛かるところ。


ビンタレベル★★★☆☆
こぅ

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