マグルの血

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのマグルの血のレビュー・感想・評価

4.7
天才的な頭脳を持ちながら育ちや過去に捕らわれ自分を見失った青年が、かけがえのない出会いを通じて成長していく話。

畜生!なんでこんな映画だって誰も教えてくれなかったんだ!最高の映画じゃねえか!

なんでずっと避けてきたんだろう…やっぱり邦題のせいかな?パッケージのせい?後悔の渦に飲み込まれていく…。

これ思春期に見たら間違いなくぶっ刺さりまくって心の殿堂入りを果たしますね。大人になった今でもまだ全然間に合ってました。

まだ無名だったころのマット·デイモンとベン·アフレックの共作による脚本。本人達も出演し一気にスターダムにのしあがったとか。

主人公ウィルは孤児であり、仲間と遊びや喧嘩に明け暮れるような素行の悪い問題児。しかし天才的な頭脳を持ち、清掃のバイト先である大学の黒板に書かれた数学の難問をこっそり解いたことがバレて人生が一変します。

刑務所送りになるところを数学教授のランボーにより条件付きで仮釈放。その条件とは教授の数学の研究に協力することと定期的にセラピストと面談し更正すること。

頭が良すぎる彼に何人ものセラピストがお手軽状態の中、ランボーとは旧知の仲だがあまり仲良くなかった心理学者ショーンにウィルの更正の依頼が舞い込む。

互いの心の傷を少しずつ理解し、少しずつ心を開いていくウィル。二人の交流は時に厳しく、時に暖かい言葉でウィルの行き場のない精神状態を解放に導いていくのです。

本当に素晴らしい映画で、心に残る最高のパンチラインがマシンガンみたいに連続して繰り出されます。一見凡人には共感しにくいテーマと見せかけて誰しも起こりうると言いましょうか。
もちろん過去のトラウマ、心の傷の癒しがメインなんですが、形は違えどなんとなく引っ掛かる心理描写。成長の過程で通過する世代の思考ですが、主人公ウィルの思いはいくつになっても強く刺さるし、彼を支えたショーンの心遣いも非常に感動的です。

また、俗にいう「地元のツレ」達との関係性もとても素晴らしい。上流階級にウンザリし、素行が非常に悪い彼らですが、日々の何気ないやり取りから友情は手に取るように伝わりウィルの心の支えになっていることが理解できます。

特に大親友であるベン·アフレック演じるチャッキーは、ウィルの才能を信じ彼の背中を優しく押す。こんないい俳優だったのか。

それぞれ演じる俳優達が最高でした。マット·デイモンの演技はもちろんのこと、やはりロビン·ウィリアムス。本当に素晴らしい。物語のピークでは涙が…。

語彙力無さすぎてほんと申し訳ないですけど、なんでこんなにハートフルなヒューマンドラマを見逃していたのか、自分のことながらまったく理解ができない。

本当にちょうどいいときに制作された映画だったんだけどなあ。「グッド·ウィル·ハンティング/旅立ち」の「旅立ち」の部分が気に入らなかったんでしょうか(笑)
思い返すと2000年代初頭はミニシアター系の映画とかハマって、TSUTAYAに行って単館上映されてそうな映画やちょっとこじらせてるような映画ばっかり観て調子のってた時期だったかもしれません。あの時期一番好きだった映画は「シティ·オブ·ゴッド」。(今でも大好きですよ)

「メジャー作品なんか観ないよ。ハリウッドとかだっせー」みたいな、屈折したパンク精神みたいなのがありましたね。その割には攻めた映画とか名画全然観てない。ダサい。

ほのぼのした、ベンチに座るおっさんとイケメンのパッケージ。お涙頂戴のヒューマンドラマだろと勝手に決めつけてたけど、そんな時期こそ観るべき映画だったと気づいたときには後の祭りです。ショーンは「後悔はない」って作中力強く言ってたけど、私は後悔だらけです…。

まあなんにせよ、人生観に多少の影響を与えるであろうしっかり「残る」タイプの映画でしたね。正直自己啓発という目的であればショーシャンクより全然好み。だってマット·デイモンが異常にかっこいいんだもん。

タイタニックのレオ様、T2のエドワード·ファーロングが私の2大イケメンスターだったんですが、そこにマット·デイモンも余裕でノミネートです。

そういえば、クレジット観ると監督がガス·ヴァン·サントだったんですけど、この監督ってこういう作風の方なのでしょうか?実はファーストタッチがラストデイズで面白さがさっぱりわからなくてずっと敬遠してたんです。代表作のエレファントとか、確かに気になったんですけど、カート·コバーンがモデルって聞いたら興味持っちゃって。
今観たらまた感想が変わるかもしれないんですが、当時その経験が邪魔をして避けてたところがあるんですよね。
若者の繊細な心理描写を描くのが得意なのかな?オススメされたいですね。

とりあえず、私にとって本作は「かっこいいアメリカ人映画」見たければオススメの1本です!
スタイリッシュではないですが、今観ても色褪せない世界観は凄いですね。時代を選ばない作品は強いと思います。

2024年 22本目
マグルの血

マグルの血