半兵衛

ヨーロッパ一九五一年の半兵衛のレビュー・感想・評価

ヨーロッパ一九五一年(1952年製作の映画)
3.3
貧困や労働問題など社会派映画らしい題材を取り上げているのに、結局監督は奥さんばかり熱心に撮っているので少しもやっとする。女性の受難劇というドラマとしては間違っていないけれどあまりにもバーグマンに頼りすぎてはしないかい。

それでもバーグマンに彼女の経歴を思わせる「愛を求め、別の世界へ飛び込む」人物像を演じさせることで、演技とは違う生々しい表現をにじみ出させることに成功している。ラストのまるで現代社会の歪みで疲弊したような彼女の顔立ちはその成果と言えるはず。

序盤での息子の自殺騒動、後半の精神病院などシリアス一辺倒な物語のなかで、貧しいのに明るく振る舞い軽快に喋りまくるジュリエッタ・マシーナに癒される。
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